2005年9月13日(火)「しんぶん赤旗」
「君が代」強制
生徒の自主的活動奪う
東京地裁 「予防訴訟」で教師ら証言
東京都の教職員三百六十人が都教育委員会を相手に「君が代」斉唱の義務のないことの確認を求めて起こしている裁判(予防訴訟)の第十回口頭弁論が十二日、東京地裁(難波孝一裁判長)で開かれ、教師、元保護者らが証言しました。都教委の「日の丸・君が代」強制によって、各学校で創意工夫していた卒業式が画一化され、自由な教育活動ができなくなっている実態が明らかになりました。
養護学校の教師は、従来、卒業式は「最後の授業」であり、車いすの生徒も自分の力で卒業証書を受け取りにいくことで、その子の主体性を引き出し、保護者も自分の子どもの成長を喜ぶことができたと証言。
都教委が「日の丸」を掲げた壇上での卒業証書授与を強制したために、それができなくなったうえ、危険を伴うようになったと指摘し、「子どもの学習発達の権利を侵害している」とのべました。
都立高校の教師は、生徒会が自主的に「日の丸・君が代」について討論会を開いたことを都教委が問題にし、教師らを取り調べ、校長や生徒会顧問だった自分が「厳重注意」になったと証言。強制が生徒の自主的、自発的な活動の機会を奪っていると語りました。
都立高校生の保護者として卒業式を見てきた丸浜江里子さんは、二年前の上の子の卒業のときは生徒の実行委員会が主体になり、会場も保護者や教職員が卒業生を見守る形で設営され、感動的な卒業式がおこなわれたことを紹介。昨年の下の子の卒業式では、全員が「日の丸」の方を向き、教頭が起立しない教職員をチェックしていたと証言し、「子どもが学校の主人公。座っているかどうかをチェックするのでなく、子どもの方に目を向けてほしい」と訴えました。