2005年9月10日(土)「しんぶん赤旗」
イラク北部タルアファル
米軍が総攻撃準備
「第2のファルージャ」懸念も
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【カイロ=小泉大介】イラク駐留米軍のリック・リンチ少将(広報担当)は八日、米軍が同国北部のシリア国境に近いタルアファルに対し総攻撃を実施する準備を整えていると言明しました。同地ではすでに米軍の空爆で多数の民間人死傷者が出ています。総攻撃が強行されれば、昨年十一月の中部ファルージャへの総攻撃と同様、甚大な人的犠牲とともに、イラクの政治プロセスに深刻な否定的影響を及ぼす可能性があります。
同少将は、「連合軍とイラク治安部隊はタルアファルで、武装勢力を除去するための可能な軍事作戦を準備中である」「具体的時期は示さないが、数週間のうちに明確な軍事作戦を目にすることになるだろう」と述べました。
タルアファルはイスラム教スンニ派アラブ人やトルクメン人が混在する都市で、人口は三十万―四十万人とされます。この数日間、米軍は同地の四つのモスク(イスラム教礼拝所)を爆撃。現地医師の証言などによると、数十人の住民が死亡、多数が負傷しました。医薬品や食料、水、電気も枯渇し、都市機能はすでにマヒ状態に陥っています。
十月中旬の憲法草案の是非を問う国民投票を前にした攻撃表明は、今年一月末の暫定国民議会選挙前に強行されたファルージャへの総攻撃時と酷似しており、移行政府のヤワル副大統領からも「タルアファルは第二のファルージャになろうとしている」との深刻な懸念が出ています。
米軍はタルアファル総攻撃の理由の一つに外国人武装勢力の存在をあげていますが、避難住民や政治組織からは「外国人の姿を街で見かけたことなどない」との声が次々と上がっています。