2005年9月9日(金)「しんぶん赤旗」

「政治とカネ」無反省 改革語る資格ない

自民・民主も財界に献金ねだる

検察の問題ですから…企業献金悪いと思わぬ


 「政治とカネ」の問題を改革せずして何の「改革」か――。政治資金オンブズマン共同代表の阪口徳雄弁護士はそう指摘します。日本歯科医師連盟(日歯連)事件など政界・業界の癒着構造の根幹にあるのは企業・団体献金。本質的には「政治の買収」がねらいです。しかし、自民党も民主党も企業・団体献金獲得を競っています。


■金権体質

 「小泉純一郎首相は『自民党をぶっ壊す』と言う。その割に、最も旧来の自民党らしい金権体質を変えることには消極的」(三日付「毎日」)。マスコミもそう批判する小泉首相。総選挙のテレビ討論(四日)で、日本共産党の志位和夫委員長から「(金権腐敗問題で)真相解明に指一本動かさない」と批判されても、「これは検察の問題です」と人ごとのようにいってのけました。もともと、「企業・団体献金が悪とは思っていない」(〇四年十月十四日)というのが小泉首相です。

■日歯連

 日歯連事件では、(1)旧橋本派への一億円ヤミ献金(2)自民党議員への数々の迂回(うかい)献金――などが大問題に。日本共産党などは橋本元首相らの証人喚問を求めましたが、小泉首相は「本人が判断する問題」などといい、事実上拒否しました。

 迂回献金とは、自民党の政治資金団体「国民政治協会」が受け取った形にし、実際のカネは特定議員が受け取るもの。政治家が表に出したくない企業・団体献金を隠すのがねらいで、政治資金規正法違反の疑惑があります。検察が起訴しなかったこの迂回献金で、検察審査会は山崎拓・前自民党副総裁に「起訴相当」、元宿仁自民党事務局長らに「不起訴不当」の議決をしました。

 その根拠は日歯連出納簿に山崎氏ら献金議員名がしるされているという、“動かぬ証拠”。それにもかかわらず、小泉首相は「迂回献金はない」と居直っています。

■橋梁談合

 日本経団連会員企業などが起訴された道路公団や国土交通省の鋼鉄製橋梁工事をめぐる談合事件。この事件では、欧米よりけた違いに「談合」に甘い“談合天国”日本の現状が問題になりました。独占禁止法に違反した企業への課徴金は現行、違反対象商品の売上高の6%。米国では対象商品の売上高の15―80%の罰金です。談合で食い物にされるのは国民の金。これら談合企業は自民党に十一年で十六億円も献金しています。

 公取委は課徴金を大幅に引き上げようとしましたが、財界が強く反発。このため財界から献金を受けている小泉自民党は、課徴金の引き上げ幅を大幅に圧縮しました。財界に献金拡大を求める民主党も、財界の意を受けて、企業への制裁金を大幅に減免する対案を提出しました。


■日本共産党はこう考えます

 政官財の癒着と利権の構造にメスを入れるために、(1)本質的に賄賂(わいろ)の性格を持つ企業・団体献金の禁止と、税金を消費する政党助成金の廃止(2)高級官僚などの天下りを法律で禁止し、入札談合など法違反企業への課徴金を欧米なみに引き上げる――などを主張しています。


■企業献金は政治買収

■政治資金オンブズマン共同代表

■阪口徳雄弁護士

 「政治とカネ」、政・業癒着という、最も根本的で優先されるべき問題を改革することなしに、政治家に「改革」を語る資格なし。それが前提だと思います。総選挙でうわべだけ郵政だ、公務員だ、といっても、それは本当の改革ではありません。

 いま私たちが追及をしているゼネコン献金問題は、業界で自民党に毎年四、五億円を出し、公共事業を増やせと要求していた、というものです。典型的な政・業癒着であり、カネで要求を実現する政治買収です。しかし、小泉首相は、なんらメスを入れようとしません。まったく改革していません。民主党も同じで、日本経団連に献金を要請する状態です。

 もっとも改革されなければいけないのは、政業癒着、政官業癒着の構造です。そのために必要なのは企業・団体献金の禁止です。最低限、公共事業受注企業など国の予算と密接にかかわる企業、国と利害関係を持つ企業の献金を禁止すべきです。


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