2005年9月9日(金)「しんぶん赤旗」
主張
改憲「争点隠し」
9条変えようとするのはなぜ
自民党は、八月に「新憲法第一次案」を発表し、政権公約に改憲草案を十一月十五日までに策定すると明記しています。九条の全面改定という重大な内容なのに、小泉首相は、当然の批判にたいし、「憲法九条を変えると戦争になるという理屈がわからない」ととぼけるだけで、選挙演説では一切ふれません。
郵政一本やりで争点隠しをしながら、総選挙が終われば、憲法改定も支持されたかのように言うとすれば、これほど国民をばかにするやり方は、ありません。
■アメリカの要求にそい
絶対に戦争をしないというなら、憲法を守るのが当然です。あえて九条を変えようとするのは、九条で禁じられていることをできるようにするためです。
小泉自公政権は、自衛隊をイラクに派兵し、兵員・軍事物資を空輸するなど米軍事作戦の一翼を担わせています。しかし、憲法九条があるため、戦闘に参加することまではできません。ブッシュ米政権は、それががまんならず、昨年七月には、アーミテージ国務副長官(当時)が、「第九条は日米同盟の妨げ」とのべています。九条を取り払って、武力の行使を含めた全面的な軍事協力をできるようにせよ、という要求です。
小泉首相自身、「集団的自衛権を認めるんだったら憲法は改正した方がいい」(二〇〇三年七月二十五日参院外交防衛委)とのべています。
集団的自衛権の行使とは、日本が攻撃されなくても、軍事同盟を結んでいるアメリカが戦争を始めたときに、アメリカを守るため一緒に戦争をするということです。これまで日本政府も、それは憲法違反だと言ってきました。集団的自衛権行使のための「憲法改正」は、アメリカと一緒に海外で武力行使ができる筋道をつくるものです。
げんに、自民党の「新憲法第一次案」は、憲法九条の「戦争放棄」「戦力不保持」「交戦権の否認」の条項すべてを削除。かわりに、「自衛軍の保持」と、その「自衛軍」が「国際社会の平和及び安全の確保のために国際的に協調して行われる活動…を行うことができる」ことを明記しました。集団的自衛権の行使をも可能にする規定です。
「国際社会の平和及び安全の確保」は、イラク特措法にも使われている用語であり、イラク戦争のようなアメリカの先制攻撃戦争にも、直接参加できることを意味します。交戦権を持った国の一人前の軍隊としての参加ですから、武力行使を伴うことになります。
自民党の九条改定は、日本を米国とともに「海外で戦争する国」にするものです。これでどうして、戦争にならないといえるのか、その理屈がわかりません。
■憲法守る日本共産党
民主党も、日本を「海外で戦争する国」にする方向で自民党と一致しています。民主党は、国連安保理決議があれば海外での武力行使ができるとする立場で、元代表は、国会質問で「改憲して自衛軍を書き込め」とまで要求しました。公明党も、「加憲」を主張し、改憲策動に合流しています。社民党は、自民党と民主党への投票は「九条を変えることに力をかす」ことだと言いますが、その民主党と選挙協力しています。
日本共産党は、日本を「戦争をする国」にしないために、憲法を守り抜きます。憲法改悪にきっぱり反対する「たしかな野党」です。力をあわせて、平和な日本にしていきましょう。