2005年9月8日(木)「しんぶん赤旗」

保育・児童手当/子育ての

願いに応える党は


 今年上半期(一―六月)の出生数は死亡者数を三万人も下回り、日本は予想を超える速さで戦後初の人口減少社会に直面しています。少子化への関心の高まり、子育ての願いに各党はどうこたえているのでしょうか。


■子育て

■共産党 「働くルール」確立要求

■自・公  長時間・非正規増やし出生率低下

 横浜市内に住む二十代の夫妻。二十九歳の夫は出版関係でほぼ毎日の残業で、午前二時ごろに帰宅するときも。顔を合わせる休日の半分を寝て過ごします。二十八歳の妻は「二人の時間を取るのに精いっぱい。周りはそろそろというけれど、いまの生活で子どもの世話ができると思えない」と、出産には及び腰です。

 「今と何が変わったら子どもを産みたいか、もっと産みたいか」。毎日新聞(八月二十二日付)が女性に聞いたアンケート。回答のトップが「子どもがいても働きやすい職場になる」(43%、複数回答)でした。

 政府の厚生労働白書(〇五年版)も「仕事と家庭の両立は、地域で子育てをしやすい働き方にある」とのべ、出生率の低い都市部は「(雇用者の)非正規化が進んでいる一方で、正規雇用者においては長時間労働をしている者が多い」と分析しています。

 長時間労働の短縮目標(年間千八百時間)を投げ捨て、非正規労働をどんどん広げている小泉「改革」を「止めるな」「前へ」という自民、公明には少子化への対応はできません。

 少子化対策の中心問題として「働くルールの確立」を求めているのが日本共産党です。公約に「長時間労働をなくし、家庭生活との両立ができる働き方」を盛り込み、▽サービス残業の根絶▽子育て中は変則勤務・夜間勤務・単身赴任を制限▽育休中の賃金保障六割への引き上げ▽正規雇用の拡充―などを掲げています。

■保育

■共産党 新増設の整備計画

■自・公 施設整備予算を半減

 「今と何が変わってほしいのか」という毎日新聞のアンケートで、働き方、児童手当に次いで三番目に多かった回答が「保育園、幼稚園が利用しやすくなること」でした。

 日本共産党は「保育所整備計画」をつくって認可保育園の新設・増設をすすめ、延長・夜間・休日・一時保育の充実や、無認可保育所への財政支援を行うと公約しています。

 小泉内閣のこの四年間は逆でした。私立保育園の設立や増改築の際に国から支払われる施設整備費は、〇二年度の約三百六十六億円(予算ベース)から〇五年度は半分以下の百六十七億円にガタ減り。さらに実際の内示額(交付金)は百十九億円に削られました。もともと地方から申請のあったのは三百十三億円。結局、申請の約六割が不採択にされたのです。

 この間の待機児童数は、〇二年の六万二千百六十四人から〇四年十一月には六万八千四百二十人へと増えています。

 自民党はマニフェストで「待機児童ゼロ作戦の継続」、公明党は「保育所受け入れ児童数を拡大」と掲げています。しかし“ゼロ作戦”は、国の整備予算を増やすものでなく、民営化の推進と、規制緩和による定員(受け入れ児童数)の水増しにあります。

■児童手当

■共産党 ムダを削り2倍に

 小泉内閣では、児童手当も遅れた水準にあります。日本共産党はヨーロッパ並みの水準まで引き上げる必要があると考えています。

 支給対象は十八歳までに拡大。支給額は現行の二倍に引き上げ、第一子・二子は月一万円、第三子二万円にすると提案しています。必要になる財源は六千億円程度です。

 道路特定財源(六兆円)の一般財源化(社会保障にも利用できるようにすること)や、五兆円の軍事費の削減などで十分確保できます。

 負担を子育て世代に求めるのではなく、大もうけしている大企業にも応分の負担を求めます。

■自・公 負担増を押し付け

 自民、公明両党は、二〇〇〇年に児童手当の対象を小学校入学まで、〇四年に小学校三年生までに引き上げたことを子育て支援の実績としています。しかし同じ時期に子育て世代に大きな負担増を押し付けました。

 社会保障では、〇四年からは十年以上にわたる年金保険料の連続引き上げ、医療はサラリーマン本人への三割負担強行、雇用保険料の増額などの負担増です。

 税金では、年少扶養控除や配偶者特別控除の廃止、定率減税の縮減などで所得税を増税し、年収四百万円で子ども一人の世帯では年間二十万円を超える負担増となりました。

■民主党 庶民増税とセット

 民主党はマニフェストで子ども手当を中学校三年生まで月額一万六千円を支給としています。しかし財源は、扶養控除や配偶者控除の廃止など所得税増税。子育て世代を含む庶民増税と抱き合わせの子育て対策とする点は、自民、公明両党と同じです。

 子ども手当の対象も、もっとも教育費の負担が重くなる高校生、大学生の子どもがいる世帯は除外され、増税だけが押し付けられます。

 消費税・庶民増税とあわせた負担増は、年収五百万円で高校生・大学生の子ども二人を持つ世帯で年間二十三万円にもなります。


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