2005年9月6日(火)「しんぶん赤旗」

争点を問う

外交

ゆきづまり打開できる党は


■自民・公明

■侵略戦争を“名誉回復”

 「日本には友達と呼べる国がない」。自民党の国際局長も務めた平泉渉元衆院議員は、同党の機関紙「自由民主」(八月二日付)でそう嘆きます。深刻なゆきづまりに陥っている日本外交を打開できる力を持っているのは、どの党でしょうか。総選挙の大事な争点です。

 政府をあげて取り組んだ国連安保理常任理事国入り―。そのためにドイツなどと提出した国連総会決議案の採択の展望はなく、頓挫しています。同決議の提案国になったのは、アジアでは三カ国(アフガニスタン、モルディブ、ブータン)だけ。公明新聞も「ドイツへのロシア、欧州の支持と対照的」「(日本が)近くに友人のいないことを世界に印象付けた」(八月十日付)と認めます。

 なぜ友人がいないのか。その根源には、世界でも際立った自民党政治の異常さがあります。過去の戦争の“名誉回復”をはかる動きが横行していることと、対米追従の外交です。小泉・自公政権は、これを極限まで進めてしまいました。

 戦後の世界は、アジア・太平洋での日本の戦争が間違った侵略戦争であり、二度と繰り返してはならないという決意から始まりました。ところが、その戦争が「正しかった」と正当化する靖国神社に、首相が就任以来四年連続で参拝したのですから、世界から反発を受けるのは当然でした。

 日韓首脳会談(六月)で、盧武鉉大統領は首相にこう述べました。

 「過去の戦争と戦争英雄を美化して、そういったことを学んだ国が隣にあり、膨大な経済力と軍事力を持っている。その近隣国、とくにその国が過去に何回も苦しめられたことがあったら、その国民は未来を不安に思わざるを得ないだろう」

 ドイツの新聞は、日本が周辺国に友人を持てない理由に、「小泉純一郎首相は、日本に平和主義を義務づけている憲法条項を、不快な束縛と考えている」ことを挙げています(フランクフルター・ルントシャウ紙四月十一日付社説)。

 侵略戦争を反省しない国が、平和憲法を変えて、今度は米国とともに海外へ戦争に乗り出そうとしている―。世界の「不安」は、この小泉・自公政権の外交路線に向けられています。

■民主

■“靖国派”抱える

 民主党は、日本外交のゆきづまりを打開する力を持っていません。

 マニフェスト(政権公約)は、かつての戦争に対し「率直な反省と謝罪の気持ちを忘れません」としています。しかし、実際の行動は、この言明とは正反対です。

 たとえば二日に衆院で採択された「戦後六十年決議」。あの戦争を“世界の列強が侵略的行為や植民地支配を行い、日本はその風潮にのっただけ”とする「戦後五十年決議」を「想起する」という内容でした。民主党は、自民、公明、社民の各党とともに採決を強行。これでは、「反省と謝罪」どころか合理化です。

 また同党は、党内に靖国神社参拝を推進する勢力を抱えています。こうした党に、自民党外交の転換はできません。

 マニフェストは「日米同盟は、アジア・太平洋地域の安定の要」「米国との防衛協力を推進」とも明記。米国とともに自衛隊が海外で戦争できる国を目指す点では、自民党と変わりません。

■日本共産党

■参拝中止を要求「野党外交」展開

 日本共産党は、靖国神社への首相参拝問題の本質について、侵略戦争を正当化する靖国神社の戦争観・歴史観を認めるのかにあると正面から提起し、参拝中止を要求。内外メディアも靖国神社の戦争観・歴史観に注目し、保守政治家の一部も参拝中止を求めるまでになりました。

 日本共産党がこうした役割を果たせるのも、戦前から命がけで反戦・平和を貫いてきた歴史があるからです。

 また日本共産党は、米国追従外交の根源にある安保条約をなくし、独立・平和の日本を提案しています。

 イラク戦争が切迫したときにはアジア、イスラム諸国を訪問し、国連憲章にもとづく平和の国際秩序を目指すという一致点を確認するなど、「野党外交」で各国と心を開いた対話と交流の努力も積み重ねています。


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