2005年9月3日(土)「しんぶん赤旗」
“郵政民営化はもうけの好機”
「郵便貯金から株投資へ」
ばく大な手数料も銀行・証券に
米証券などがリポート作成
「大きなビジネスチャンス」―。大手外資系証券会社や日本の大手銀行グループがそんなリポートをつくって、小泉首相がすすめる郵政民営化を大歓迎しています。
四大金融グループの一つ、三井住友フィナンシャルグループの「日本総合研究所」が昨年九月九日付のリポートでこう指摘しました。
「(郵政民営化は)『官から民へ』『貯蓄から投資へ』という小泉構造改革を実現する上でも、極めて重要な意義を有する」。
ポイントは「貯蓄から投資へ」の部分。小泉首相も国会で「貯蓄から投資へという流れをつくらなきゃいけないというのは民主党も同じだと思います」(六月十五日)と発言しています。その意味を、証券会社の幹部が解説します。
「日本の個人資産の四分の一は郵便貯金・簡易保険。これを民営化することで株式投資を増やし、企業に金をまわす作戦だ。これが『官から民へ』だ。虎の子の貯金を投資に回してパーになった、ということになりかねない」
米大手証券会社「モルガン・スタンレー」は「郵政民営化 政治の劇、経済の劇変」と題したリポートを昨年十月に出しました。郵政民営化を「経済的見地からみれば革命的」「事業が競合する企業(銀行など)や潜在的な業務委託先になり得る企業は、大きなビジネスチャンスに恵まれる」とのべています。
大手銀行・証券など資産運用の企業や物流関係企業が「最大の機会を享受するとみられる分野」とされます。
外資系証券会社の幹部は語ります。
「民営化しても、郵便局は自前で資金運用できない。結局、外部委託するしかない。郵貯と簡保をあわせて三百四十兆円。この一部でも運用させてもらえば、莫大(ばくだい)な手数料が転がり込んでくる」
大手銀行の幹部は「民営化され、郵貯の一部が銀行に流れてくれば、投資信託をすすめる。銀行には確実に2%前後の手数料が入ってくる。郵貯の預入限度額を段階的に下げて郵貯を半減させるという民主案は、政府案よりいいという人もいる」と明かします。