2005年9月3日(土)「しんぶん赤旗」
主張
小泉政治の実像
ムダと危険増やす巨額軍事費
小泉自公政権は、「改革」を叫んでいますが、大型公共事業や軍事費のムダ遣いにはメスを入れようとしません。防衛庁の来年度予算の概算要求は、今年度より五百五十六億円も多い四兆八千八百五十七億円。約五兆円の軍事費の中身はムダだらけです。
■有害無益な税金支出
小泉内閣の予算作成は今回で五回目。軍事費の総額は、二十四兆円を超します。特徴は、アメリカの先制攻撃戦略に参加し、米軍と一体となってどこにでも軍事介入できる体制をつくろうとしていることです。戦争の危険を大きくするものに巨額の税金を注ぎ込むことは、有害無益、重大な損失です。
どこからみてもばかげた兵器購入も多く、90式戦車はその典型です。アメリカの要求に沿い、“対ソ戦への備え”だとして、一九九〇年から調達を始めましたが、すぐソ連が崩壊し、調達の口実も崩壊しました。にもかかわらず、一両八億円、重さ五十トンもあり、特別に強化した道路、橋しか通れない無用の長物を買い続け、財政赤字を増やしてきました。小泉内閣は、四年間で四百九十四億円を使い六十二両増やし、来年度も八十九億円を計上、十一両を調達します。合計三百十八両になります。
イージス艦の調達も同じです。多数の航空機やミサイルを同時に捕捉・撃ち落とす大型の護衛艦で、ソ連軍と対峙(たいじ)する米空母を守らせるため、アメリカが日本に保有させたものです。一隻約千三百億円。九八年までに四隻、小泉内閣になってから、〇二、〇三年度で合計二千八百四十億円をかけて新型イージス艦を二隻追加調達しました。新型艦は、弾道ミサイル防衛を新たな口実にしていますが、米本国や在日米軍基地に向けられた弾道ミサイルを無力化することで、アメリカが先制攻撃戦争を心配なく行えるようにする戦略の一翼を担うものです。「防衛」どころかアメリカの先制攻撃と、それに日本を巻き込む危険を大きくするだけです。
海外派兵のための装備を増強することも重大です。
〇四年度に続き、来年度、二隻目となるヘリ空母を調達します。一隻約一千億円。排水量一万三千五百トンの大型艦で、広い甲板を持ち、十機のヘリを積んで、四機を同時に発着させることができます。本格的な海外戦争用の新型艦です。空中給油機は、空中給油によって部隊を海外の戦場に直行させるものです。〇二年度から三機を導入、〇五年度予算で四機目を買うことになっています。四機合計で九百七十六億円です。
来年度予算概算要求で二千三百六十八億円を計上している米軍への「思いやり予算」は、日米地位協定で、米側の負担と決まっているのに、「思いやり」と称して、肩代わりしているもの。根拠なき税金支出であり、米軍基地存続に伴う住民の被害拡大にもつながっています。全額削除するのが当然です。
■日本共産党でこそ
自民党は、「国防は最高の福祉」などと強弁し、防衛庁の「防衛省」化や、「防衛力の整備・強化」を主張しています。日米軍事同盟と軍事力の強化を絶対化する立場では、ムダにメスを入れることはできません。
日本共産党は、小泉自公政権の軍事優先政策と正面から対決し、軍事費の大幅削減を要求しています。「たしかな野党」の日本共産党が伸びてこそ税金のムダ遣いをなくし、平和を守ることができます。