2005年9月1日(木)「しんぶん赤旗」
06年度概算要求 軍事費に約5兆円
「聖域扱い」くっきり
防衛庁が決定した二〇〇六年度軍事費(防衛関係費)の概算要求は、内閣官房予算に含まれる軍事偵察衛星(情報収集衛星)関係経費を加えると、総額四兆九千七百八十六億円(今年度予算比1・2%、五百九十八億円増)にものぼります。小泉・自公政権は「小さな政府を」と主張しますが、あくまで軍事費は“聖域”扱いです。無駄遣いの上に、海外派兵や米国の世界戦略を支える装備調達が目白押しで、世界とアジアの平和を脅かすものになっています。
■米国の軍拡に「柔軟対応」
「ミサイル防衛」(MD)で日米の共同開発を打ち出した次世代システムは、イージス艦から迎撃ミサイルを発射するシステムです。
「ミサイル防衛」は、相手国の弾道ミサイルを撃ち落すことで、米国の先制攻撃戦略を支えるシステム。防衛庁は、次世代システムの共同開発への移行の必要性について米国のスパイラル(らせん)方式への「柔軟対応」を強調します。
スパイラル方式とは、未完成でもとりあえず配備し、その後、実験・改良していく考え方。こんな米国の計画に「柔軟対応」すれば、際限のない軍拡に引きずり込まれることになります。
防衛庁は、次世代システムの調達検討時期について、二〇一五―一六年ごろを予定しています。
■“ヘリ空母”2隻目計上
重点になっているのが、海外派兵型への自衛隊の転換です。
陸上自衛隊は、新たに設ける「中央即応集団」のもとに、海外任務についての教育訓練を専門的に行う「国際活動教育隊」を編成。このほか、海外の情報を収集する「中央情報隊」も新編します。
装備では、二隻目の“ヘリ空母”(ヘリ搭載護衛艦)の調達経費千六十三億円を計上。インド洋などへの長期派遣もにらんだ艦船で、新たに洋上給油装置も設けます。
また、イラクなど海外任務が増えているC130輸送機の航続距離を伸ばすため、空中給油機から給油を受ける装置をとりつけます。
こうした動きは、昨年末に決定した「防衛計画の大綱」で、自衛隊の海外派兵の「本来任務化」を打ち出したのを受けたものです。
このほか、〇六年度から「国際平和協力演習」を初めて実施する計画です。一回目は、海外で発生した大規模災害に対応した部隊派遣を想定します。
■対ソ戦想定の兵器いまだに
無駄遣いの典型は、ソ連が崩壊して十四年もたつのに、対ソ戦を想定していた兵器の調達です。
最新鋭の90式戦車を十一両(八十九億円)、対地攻撃能力を持つF2戦闘機を六機(七百六十億円)、対戦車ミサイルを装備したAH64D戦闘ヘリを一機(百三億円)調達します。
米軍への「思いやり予算」(在日米軍駐留経費負担)は、二千三百六十八億円(九億円減)で、引き続き高水準。内訳は、労務費千四百四十五億円、光熱水料費二百四十八億円、訓練移転費四億円、提供施設整備六百七十一億円です。