2005年9月1日(木)「しんぶん赤旗」

社会保障圧縮、軍事費は増

海外派兵体制づくり推進

小泉政権の概算要求


 「小さな政府」をかかげる小泉内閣。三十一日締め切った各省庁の二〇〇六年度予算概算要求をみると、国民向けサービスは「小さな政府」、軍事や大企業向けは「大きな政府」をめざしています。日本共産党は、社会保障を予算の中心にすえて充実させるため、公共事業の無駄や軍事費の思い切った削減とともに、大もうけをしている大企業に「応分の負担」を求めています。

■「ミサイル防衛」共同開発へ

グラフ

 〇六年度予算の政策的経費である一般歳出は、概算要求基準で定められた四十七兆五千四百三十億円が要求の上限額です。

 高齢化に伴って増えていく社会保障費の自然増分について、小泉内閣は概算要求基準段階で〇二年度に三千億円圧縮する方針を打ち出したあと、毎年連続して二千二百億円圧縮。来年度予算でも八千億円の自然増分を二千二百億円圧縮する方針です。

 具体的には、七十歳以上の高齢者の医療費の本人負担(現行一割)を二―三割に引き上げることなどが検討されています。

■無駄遣い温存

 一方、防衛庁が求めた軍事費(防衛関係費)は今年度予算比で1・1%増の四兆九千百二十億円。「ミサイル防衛」(MD)は、今年度予算比で25・2%増の千五百億円(三百二億円増)を要求。現在、装備調達を進めているのとは別に、日米で共同技術研究していた次世代システムの共同開発化を打ち出しました。防衛庁が、共同開発の理由にあげたのは「将来脅威への対応」。「ミサイル防衛」を導入する当面の計画だけでも、八千億―一兆円をかける見込みなのに、「将来脅威」を口実に際限なく税金をつぎ込むことになります。

 また陸上自衛隊が「国際活動の計画、訓練、指揮を一元的に行う」(防衛庁)ための「中央即応集団」を新設(百十億円)するなど、自衛隊の海外派兵のための体制づくりも強化する方針です。

 在日米軍への「思いやり予算」は二千三百六十八億円を要求しています。

 公共事業では、国土交通省が二本目の滑走路をつくる二期工事を中心にした関西国際空港の整備に三百六十七億円を要求するなど、無駄遣いが温存されようとしています。

■大企業減税を延長/定率減税は廃止検討

 二〇〇六年度の税制「改正」をめぐっては、大企業減税の一方で、庶民増税が計画されています。

 経済産業省は、企業のIT(情報技術)投資を促進する法人減税と研究開発減税の延長を求めています。減税規模は年一兆二千億円規模です。

 両減税は〇三年に時限措置として導入されました。〇五年度末に期限が切れるため日本経団連が延長を求めていました。

 一方、厚生労働省は「基礎年金の財源の確保」の名目で、個人所得税の定率減税の廃止を要望しています。

 所得税と住民税の定率減税については、すでに〇五年度税制「改正」で半減(一兆六千五百億円の国民負担増)が決められ、政府税調は〇六年度で廃止(さらに一兆六千五百億円の国民負担増)することを打ち出しています。


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