2005年8月31日(水)「しんぶん赤旗」
郵政民営化
ウソの上に成り立つ首相演説
「郵便局は国家公務員でなくてはできないのか」――三十日の総選挙公示第一声で絶叫した小泉純一郎首相。話の中身は相も変わらず郵政一本やりです。言葉巧みに「郵政を民営化すれば何かが変わる」という期待を抱かせようとしますが、その演説は数々のウソとごまかしの上に成り立っています。
■フリーターも国家公務員!?
「常勤の国家公務員が二十六万数千人。そのほかに短時間公務員が約十二万人。あわせて三十八万人の国家公務員が、郵便局の仕事をしております」
首相のいう「短時間公務員」とは、短時間職員五千数百人と、ゆうメイト約十一万人を指しているようです。ゆうメイトとは、時給八百―千円前後で働くアルバイトで、大半が主婦やフリーターです。アルバイトでも国家公務員法の適用下にあるのは確かですが、本人も含め、誰が郵便局でアルバイトをしているフリーターや主婦を国家公務員だと思っているでしょうか。公務員並みの身分保証があるわけでも何でもありません。こういう人たちまで国家公務員だと言いつのるのは、もともと首相の言い分にまったく道理がないからです。
■減らせば減らすほどよい!?
「警官は約二十五万人、自衛隊は約二十四万人、外務省関係は六千人いない。なぜ郵便局だけはたくさんの公務員でなければ仕事ができないのか。これほど公務員が削減される改革はほかにはないんですよ」
郵政事業は昔から独立採算制です。職員の給与に、税金は一円もつぎ込まれていません。郵政を民営化すれば税金の節約になるかのように描くのは、完全なごまかしです。また、人数の多さをあげつらい、公務員の数を減らせば減らすほどよいかのようにいうのは暴論です。
■国の税収が増える!?
「郵便局はどんな仕事をしても、税金、法人税を納めなくていい。民間企業になれば、法人税も固定資産税も納税されるようになるんですよ」
郵政公社は、四年ごとに、利益の五割を国庫に納付することになっています。民間の法人実効税率(約四割)よりも高いのです。首相はここを意図的に隠し、郵政が国庫にまったく貢献していないかのように攻撃しているのです。