2005年8月30日(火)「しんぶん赤旗」

主張

子育て支援

やっていることがあべこべだ


 今年上半期の出生数が死亡数より約三万人少ないことが、厚生労働省の人口動態統計(速報)でわかりました。半期で人口が減ったのは初めてのことです。

 二〇〇一年四月に発足した小泉内閣のもとで、一人の女性が生涯に産む子どもの平均数(合計特殊出生率)は、一・三六(二〇〇〇年)から一・二九(〇四年)へとさらに下がりました。少子化傾向に歯止めがかかりません。

■増加する待機児童

 小泉内閣は、保育所の「待機児童ゼロ作戦」など、子育て支援に力を入れているように宣伝していますが、実際やっていることは逆です。

 保育所の待機児童ゼロ作戦は、〇二―〇四年度の三年計画で受け入れる子どもを十五万人増やし、待機児童の解消をめざすというものです。しかし、希望する保育所に入れず空きを待つ子どもは、三万五千百四十四人(〇一年四月)から四万一千八百人(〇四年四月)へと逆に六千六百五十六人も増えています。やむなく認可外施設などで対応した子どもを除いても二万一千二百一人(〇一年四月)から二万四千二百四十五人(〇四年四月)へと三千四十四人も待機児童が増えています。

 保育所不足を解決するためには、保育予算を大幅に増やすことが不可欠です。ところが、小泉内閣は、保育所の新増設や改築などに必要な国の保育所施設整備費を、三百六十六億円(〇二年度)から二百九十九億円(〇四年度)へと減らしました。さらに、待機児童ゼロ作戦の継続をうたいながら、〇五年度は、保育所などの児童施設整備費の総額を百六十七億円に減らしました。〇二年度と比べ半分以下になりました。

 もともと、小泉内閣の待機児童ゼロ作戦は、「最小のコストで実現をはかる」というもの。認可外保育施設の活用と既存保育所のつめこみに偏ったやり方には問題があります。待機児童の解消どころか、増加させた背景には、コスト優先で子どもの安心・安全を軽視する「ゼロ作戦」の危うさがあります。

 自民党と公明党が児童手当の拡充を、民主党が子ども手当の創設をあげ、子育て支援を宣伝しています。

 問題は、財源を増税に求めていることです。民主党は、「配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除(老親控除以外)を廃止することにより、子ども手当(児童手当)を充実します」(マニフェスト政策各論)といいます。また、公明党は、井上政調会長が「扶養控除のあり方を見直して児童手当に一本化する」(日経新聞八月二十五日付)とのべています。子育て世帯の増税と引き換えでは、子育て支援としての実効性はありません。

 日本共産党は、一九九四年に発表した「新・日本経済への提言」で少子化克服のために政治がはたすべき役割を提案し、九八年の参議院選挙では、少子化克服を日本の未来にかかわる問題として位置づけるなど、政党としていち早く解決の方向を打ち出してきました。

■実効性ある対策に努力

 実際に結婚率や出生率と深い関係があるとされる長時間労働の是正など家庭生活と両立できる働き方、若者に安定した仕事の保障、女性差別の解消、保育所の改善などに力をつくしてきました。サービス残業の是正では、二百四十回を超える質問で追及し、〇一年には厚生労働省にサービス残業をなくすための通達をださせました。小泉「改革」ときっぱり対決して、安心して子どもを生み育てられる社会をめざします。


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