2005年8月29日(月)「しんぶん赤旗」
イラク
憲法草案 国民投票へ
スンニ派反対を押し切る
【カイロ=小泉大介】イラク暫定国民議会は二十八日午後、臨時議会を開催し、憲法起草委員会が提出した恒久憲法草案を採決せずに承認しました。イスラム教スンニ派議員の反対を押し切っての草案確定となりました。憲法草案が全会派の合意がえられないままの見切り発車となりました。
草案は十月十五日までに実施される国民投票にかけられますが、スンニ派とイスラム教シーア派、クルド人との亀裂は深刻化しかねません。
草案の確定は、二十八日シーア派会派とクルド人会派が二十二日に提出した草案に若干の修正を加えて署名したことを受けてのもの。当初の予定より二週間遅れた起草作業は完了しました。
連邦制導入などをめぐり草案に反対してきたスンニ派起草委員は、最終草案への署名を多数が拒否したもようです。起草委員会のハムディ委員長は「憲法草案がイラク人の手で作られた」とのべると同時に、一部委員の「保留」を残したまま署名されたと表明しました。
報道によれば、最終草案では、最大の対立点であった連邦制について、導入する権利を明記しつつも、具体的あり方は十二月に選出される正式議会の協議に先送りすると修正されたもようですが、スンニ派を納得させるにはいたりませんでした。
国民投票では、イラク基本法(暫定憲法)の規定により、全十八州のうち少なくとも三州で反対が三分の二を上回れば草案は否決され、議会解散、新たな選挙の実施となります。
スンニ派勢力は二十七日、連邦制をめぐり、すでに事実上の自治区となっているクルド人地域を除き、草案がいかなる自治権にも言及しないよう要求。移行政府のスンニ派副首相と同派四閣僚も修正を求める声明を発表していました。