2005年8月28日(日)「しんぶん赤旗」

小泉首相のご都合主義

郵政反対派の公認検討


 ○…自民党は、郵政民営化法案の衆院採決で反対票を投じた八代英太前議員を、同党の比例東京ブロック候補として公認する方向で検討を始めました。小泉純一郎首相は反対した三十七人全員を非公認とするよう指示、引退などを除いた三十二選挙区に「刺客」(対立候補)を決めましたが、八代氏は「唯一の例外」になるわけです。

 八代氏といえば、かつて郵政相まで務めた民営化反対の急先ぽうの一人。そのため、前回総選挙では比例東京ブロックで当選したものの今回は公認を得られず、東京12区から無所属で立候補する予定でした。

 ○…ところが、東京12区は前回同様、「公明党のプリンス」とされる太田昭宏幹事長代行が立ち、自民党がそれを推薦するという象徴的な自公選挙協力区。そこへ、たとえ自民非公認の無所属でも八代氏が立てば自民票の食い合いになり、太田氏の再選がおぼつかなくなるのは明らかです。

 この状態にあわてたのが公明党。事情通によれば「“未来の代表候補”に傷は付けられない」「八代を降ろさないなら、(全国の)自公選挙協力そのものを再考せざるを得ない」などと自民党に圧力。武部勤幹事長ら自民党執行部も、本来“造反者”のはずの八代氏に「あらゆる手だてで執ように」説得を試みました。それもそのはず。今や自民党は公明・創価学会票なしには選挙をたたかえなくなっているからです。

 ○…その結果、八代氏はついに選挙区での出馬を断念。小泉首相は十九日、さっそく八代氏を首相官邸に呼び「自民、公明連立の大切さをわかってくれ、苦渋の選択をしてくれたことに感謝する」と謝意を表しました。

 これが奏功してか、自公選挙協力は前回総選挙を上回り、公明が自民を推す選挙区は前回の百九十八から二十七日現在二百十四にまで広がっています。

 そういえば「同じ造反派でも反対者と区別し、欠席・棄権の十四人(後継者含む)を公認したのは分断策もあるが、それより自公での過半数割れを防いで選挙をスタートさせるため」(政治評論家)との声も。権力者のご都合主義も極まれり、というべきです。(Y)


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