2005年8月27日(土)「しんぶん赤旗」
東京大空襲
来春にも集団訴訟
遺族ら国に賠償・謝罪求め
第二次大戦末期、多数の市民が犠牲になった東京大空襲の被害者、遺族らでつくる「東京空襲犠牲者遺族会」(東京都墨田区、会員約七百人)が二十六日までに、国を相手に空襲被害への賠償や謝罪を求める集団訴訟を東京地裁に起こす方針を固めました。戦後六十年を機に、検討を進めていました。
会員の一人で、大空襲で家族三人を失い、その後米軍機の機銃掃射で片腕を失った八十代の女性が原告となる意向を示しています。同会は九月から会員にアンケートを行い、集団訴訟を目指して原告を募るとともに、弁護士とも相談し、賠償額や謝罪の内容など訴訟の細部を検討。被災から六十一年目となる来年三月の提訴を目指します。
旧軍人や軍属に対しては、恩給制度などがありますが、一般市民については「日本国民が等しく受忍しなければならない戦争損害」とされ、原則的に補償の制度はありません。
同会の星野ひろし事務局長(75)は「民間の戦争被害者に補償がないのは、戦勝国、敗戦国を問わず先進国では日本だけ」と指摘。「東京をはじめ、各地の爆撃被害の実態も知られておらず、この事実を政府に確認させ、歴史に記録させたい」と話しています。
東京大空襲は一九四五年三月十日午前零時すぎから、米軍がB29爆撃機約三百機で無差別空爆し、焼夷(しょうい)弾で下町は火の海となり、市民約十万人(一説には約八万三千人)が死亡、約二十七万戸が焼失しました。