2005年8月27日(土)「しんぶん赤旗」
道路公団にパーティー券数百枚
自民議員が押しつけ
ゼネコンなどに割り当て
自民党国会議員が、橋梁(きょうりょう)工事の官製談合で問題になった日本道路公団に大量の政治資金パーティー券を持ち込み、公団工事受注ゼネコンやファミリー企業に割りあて購入させていたことが二十六日までの本紙調べでわかりました。二〇〇〇年以降本紙が確認しただけで少なくとも八議員が最大数百枚(一枚二万円)規模で持ち込んでいます。小泉首相は、政治資金をめぐる一連の事件で問題の核心である企業・団体献金禁止にいっさい手をつけようとしていません。
公団OBをふくむ関係者の証言によると、公団に政治資金パーティー券を持ち込んでいたのは、官房長官経験者、旧建設省出身議員や九州地方の運輸相経験者など。工事発注を担当する公団役員などに持ち込みました。
パーティー券は、公団OBを通じて、天下り先のゼネコンや橋梁メーカー、ファミリー企業などに割り当て購入させました。発注元との取引関係を背景にしたもので、割り当ては政治資金収支報告書に社名を公表しなくても済むよう一社当たり二十万円以下にしたといいます。総枚数は政治家側が公団幹部に打診したうえで決まりますが、多くて数百枚。一千枚を打診してきた例も。
国会議員のパーティー券の持ち込みは、高速道路整備の進め方などで政界との関係が強まった二〇〇〇年ごろから増加。近藤剛氏が総裁に就任した〇三年十一月以降もパーティー券の受け入れは続き、副総裁として有料道路部などを担当していた内田道雄被告も関与した、といいます。
▼解説/小泉首相に問う
日本道路公団をめぐっては、談合事件だけでなく、政界利権の温床であることが問題になってきました。自民党の政治家は自身の権力を背景に公団や役所を通じて「パーティー券」という名の政治献金を企業・団体から集め、“甘い汁”を吸ってきました。自民党への迂回(うかい)献金や旧橋本派への一億円献金が表面化した日本歯科医師連盟(日歯連)事件でも、政・官・業の癒着構造の頂点にいて、巨額献金を得たのは自民党でした。
企業・団体献金は、日歯連事件などでもわかるように自己に有利な行政・政策の実現をねらう事実上のワイロです。工事受注企業から献金を受け取っていたら、いま問題の「談合」も根絶できないでしょう。
しかし、小泉首相は事件で企業・団体献金が問題になっても、“政治家が企業からカネをもらって何が悪い”と居直り、金権政治の温床となっているという道義的な感覚さえありません。企業・団体献金推進では民主党も同様で、日本経団連に献金あっせんを要請しています。
癒着構造を「改革する」というなら、まず、政治家が企業・団体献金を断ち切るかどうかが問われます。これはやる気があればすぐにもできることです。現に日本共産党は企業・団体献金も、政党助成金も一切受けとっていません。
(山本豊彦)