2005年8月26日(金)「しんぶん赤旗」

05総選挙 この党を

岩手・花巻市の視覚障害者 小田嶋保子さん

「自立支援」法案は恐怖

手作りの点字名簿で電話


 岩手県花巻市の小田嶋保子さん(56)は視覚障害者です。網膜色素変成症という生まれつきの目の病気で、八年前に完全に視力を失い、高校の英語教師の職も辞めました。今回の衆議院選挙(九月十一日投票)で障害者が暮らしやすい社会のために日本共産党をのばそうと電話での対話・支持拡大に全力を挙げています。(小林拓也)


 小田嶋さんは、毎日朝八時半に電話の前に座り、夜の八時半まで対話をしています。十五日から始めて、対話人数はすでに百五十人を超えました。

■政府は選挙後に国会に再提出と

 対話の相手は、視覚障害者の仲間や高校教師時代の教え子、友人などです。視覚障害者の仲間とは一緒に、障害者「自立支援」法案廃案の運動をしてきました。ある視覚障害者は、月千五百円でガイドヘルパーを利用して病院や買い物、文化サークルなど自由に社会参加していますが、「自立支援」法案が通ってしまうと月四万二百円の負担になります。「『そんなお金出せない。社会参加できなくなる』。絶対通したくないとみんな必死でした」と小田嶋さん。花巻市議会に「自立支援」法案見直しの意見書を出すように陳述したり(公明党や保守系会派の反対で不採択)、地元紙の岩手日報に意見を載せたりしました。

 「衆院が解散になって廃案になったときはほっとした。でも政府は選挙後の国会に再提出して成立をめざすと言っている。法案の廃案に一番力を尽くした共産党の議席を増やして再提出をやめさせないと」。こう訴えると大半の人は「ずいぶんひどいことをしようとしているんだね。共産党にがんばってほしいね」と支持を約束してくれます。

 日本共産党員でも後援会員でもない、ある視覚障害者はみずから三十人に共産党支持を広げていました。「自立支援」法案が再提出されるかもしれないと知って、すぐ動きだしたといいます。

■普通の人の3倍時間かかるけど

 小田嶋さんは、電話をかけるとき、点字で書かれた相手の名前と電話番号を左手の指で読みながら右手で番号を押します。「長時間やるので、指がすりきれて痛くなる」と言って見せてくれた、ひとさし指の皮は薄くつるつるで、指紋がほとんど見えないほどでした。

 だれに電話をかけたのか、だれが留守だったのか、だれが共産党を支持してくれたのか―鉛筆でしるしをつけておくことができないため、記憶するしかありません。もう一度かけなおす人を探すときには、名簿の最初に戻って、一人ひとり指で確認しながら探します。「普通の人がやるのに比べて三倍くらい時間がかかる」と言います。

 点字の名簿は小田嶋さんの手作りです。夫の良樹さん(57)に相手の名前と電話番号を読んでもらい、点字を打って作りました。B5判の点字用紙に二十五人分の名前と電話番号がぎっしり詰まっています。一枚作るのに三十分くらいかかります。

 「障害者『自立支援』法案がまた国会に出てくるのは障害者にとって恐怖です。今回こそは共産党がのびてくれないと困る。障害者でもできることはなんでもやります」と小田嶋さんは言います。


 ▼障害者「自立支援」法案

 サービスを利用した障害者に原則一割の負担を求める「応益負担」を導入。所得に応じた「応能負担」となっている現行の支援費制度と比べて大幅な負担増になります。8日の衆院解散で廃案。尾辻秀久厚生労働相は、同法案を再提出し早期成立を目指す意向を明らかにしています。


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