2005年8月26日(金)「しんぶん赤旗」
東京・足立汚職事件
公明元区議に懲役求刑
検察側「わいろ積極的に要請」
東京都足立区が発注した保養所の運営委託をめぐる汚職事件で、あっせん収賄などの罪に問われた公明党元区議の忍足(おしたり)和雄被告(62)らの公判が二十五日、東京地裁(栗原正史裁判長)でありました。検察側は「わいろを積極的に要請しており、腐敗堕落している」とのべ、同被告に懲役二年、追徴金三百万円を求刑しました。
贈賄などの罪に問われた料理店「勇駒」役員川島章男被告(69)には懲役一年六月を求刑しました。判決は九月二十八日。
検察側は論告で、足立区の保養所「湯河原あだち荘」の業務受託業者の選定にあたって、公正を図るために導入されていた指名競争入札が排除されたうえ、「勇駒」に適正価格の漏示などの有利な取り扱いがあったと指摘。「実質的に無競争で勇駒が受託した。真摯(しんし)に受託を望んで公募に応じた多数の民間業者を愚弄(ぐろう)するに等しい」と両被告の刑事責任の重さを非難しました。
さらに、「業務委託が区民の税金で賄われることに照らすと、区民の犠牲のもとにみずからの利益を優先した」として、「公務員の廉潔性やその職務の公正に対する国民の信頼を著しく害するもの」と厳しく批判しました。
とくに忍足被告については、「『あだち荘については、うまくいきそうです。お礼の件ですが、三百万円ぐらいでどうですか』などと三百万円の供与を積極的かつ直截(ちょくせつ)的に要請している。廉潔性はかけらも見いだすことができず、腐敗堕落している」と指摘。「私利私欲を図るためだけに職務権限をほしいままに乱用し、公共の案件を自己の意思実現のための交換条件とするなど、公職の規範意識をみじんも見いだせない」と強く非難しました。
川島被告の弁護側は、料理店の経営が大変なとき、公明党の西口喜代志区議(当時)から保養所の話があり、「必死の思いで、すがりついた」「窮余の一策として行った犯行」などとのべ、忍足被告以外にもう一人の公明党区議の関与を明らかにしました。
起訴状などによると、忍足被告は二○○三年六月と十月、川島被告らから保養所の運営業務を受注できるよう依頼され、当時の足立区地域振興部長(定年退職)に働き掛けた見返りとして、昨年七月と八月に現金計三百万円を受け取りました。忍足被告は収受した現金の大半を韓国クラブでの飲食費等の遊興に使いました。