2005年8月25日(木)「しんぶん赤旗」
小泉政治 「改革」どころか
八方ふさがり
小泉純一郎首相は「改革を止めるな。」を総選挙のキャッチフレーズにして、「改革の旗手」を気取っています。しかし、「改革」の名でこの四年間おこなってきたのは、国民への痛みの押しつけでした。宣伝文句とは正反対に、内政でも外交でも、八方ふさがりに陥っているのが小泉・自民党政治の実態です。
■「アジアに友人いない」
■公明新聞認める
「ドイツへのロシア、欧州の支持と対照的に日本の(国連安保理)常任理事国入りにアジア諸国から支持の声が上がらなかったが、近くに友人のいないことを世界に印象付けた」(公明新聞十日付「主張」)
与党・公明党の機関紙でさえこう認めるほど、小泉・自民党政治のもとで、日本とアジア諸国の関係は極端に悪化しました。
最大の原因は、靖国神社への参拝を、小泉首相が就任の最初の年(二〇〇一年)から四年連続で強行していることです。日本の過去の侵略戦争を「正しかった」と“名誉回復”をはかろうとする、“靖国史観”への同調を事実上の国策にしてしまいました。
日本のメディアも「外交に目を転ずれば、まさに八方ふさがりである。首相の靖国神社参拝で中国や韓国との亀裂はかつてなく深い」(「朝日」九日付社説)と指摘。欧米のメディアも大きく取り上げ、世界的にも批判を浴びています。
■「対米傾斜だけが突出」
■メディアも指摘
「東アジア外交が八方ふさがりとなり外交の幅が狭まった分、小泉政権の対米傾斜だけが突出」(「東京」十一日付)――。小泉・自民党政治のアメリカ追随の異常さをメディアも指摘しています。アメリカのイラク侵略戦争を、なんの真剣な吟味もなく、「アメリカは日本の同盟国だから」という理由だけで、どの国よりもいち早く賛成を表明。さらには、憲法を改悪し、自衛隊が海外で米軍と一緒に戦争できるようにまでしようとしています。
日本は「アジアにおけるアメリカのプードル」(インドネシアの英字紙ジャカルタ・ポスト六月十日付)との批判まで上がっています。
■財政破たん一層深刻に
■大企業だけ応援
総選挙公示まで一週間となった二十三日、来年度も大企業優遇税制を続けるよう求めた日本経団連の提言が明らかになりました。研究開発やIT(情報技術)投資の優遇減税の延長などが柱です。
「大企業には減税を、庶民には増税を」という小泉内閣の大企業応援型政治を今後も続けよという要求です。実際、企業が負担する法人税は一九八八年から二〇〇三年の間に十一兆七千億円も減少。逆に、消費税は十二兆一千億円もまるまる増税です。小泉内閣は、これをいっそう露骨にし、法人税減税の効果を生む「連結納税制度」を導入。研究開発・IT投資減税などをおこなっています。
一方庶民は、小泉内閣の四年間で家計所得が十二兆円も減少。すでに実施されたり、実施が決まっているだけでも約八兆円もの負担増・給付減が押しつけられています(図)。
小泉内閣の大企業応援型政治で、財政破たんの状況が改善されたかというと、答えは逆。国・地方の借金残高は七百七十四兆円(〇五年度末見込み、グラフ)。「世界一の借金王」と自嘲(じちょう)していた小渕恵三首相時代をはるかに上回っています。