2005年8月24日(水)「しんぶん赤旗」
生まれ変わる契機に
駒大苫小牧高暴力事件
明徳義塾に続き、駒大苫小牧――。短期間に、強豪校の不祥事が次々と明らかになりました。
生徒間の暴力や教師による生徒への暴行が、「教育の一環」といわれる高校野球の現場で横行していることに、悲しい気持ちになりました。
とくに駒大苫小牧の教師による生徒への暴行は、どんな理由があろうと許されるものではありません。また、ことの隠蔽(いんぺい)をはかった学校側の責任も重い。
高野連は、今後の対応を「報告書の提出を待って、処分を決める。不祥事の速やかな報告をするよう通達を出す」と話すにとどまりました。これには正直、驚きました。4年前に、PL学園の上級生による下級生への暴力事件がおきたときと、対応になんら変わりがなかったのです。
強豪校の多くは、勝つこと、甲子園に出場することが最大の目的になっています。長い間しみついた選手間の上下関係や、指導者の強権的な体質にメスを入れ、今回の不祥事を、高校球界を変えていく契機にすべきです。
高野連は、学校の報告を待つだけでなく、部活動の実態調査に自ら足を運ぶなど、暴力根絶に本気で取り組むことが早急に求められます。また、指導者だけでなく、学校、父母、地域などにも、高校野球の原点や、そのあり方を示し、理解を広げていくことが必要ではないでしょうか。
両校の選手たちが流した涙を無駄にせず、高校生が、いきいきと白球を追う高校球界に生まれ変われるかどうか。おとなの側の責任は大きい。(栗原千鶴)