2005年8月24日(水)「しんぶん赤旗」
イラク憲法起草期限
事実上3日間再延長
連邦制など スンニ派同意せず
【カイロ=小泉大介】イラク暫定国民議会は二十二日、同日が期限だった憲法起草に関し、草案の採択をせず、さらに三日間の協議を続けることで合意し、事実上の期限再延長となりました。草案自体は起草期限直前の二十二日深夜に議会に提出されたものの、依然として各宗派、民族間の溝が埋まらなかったため。
憲法草案は二十二日午後までに、議会最大勢力であるイスラム教シーア派会派と同第二勢力であるクルド人会派との間で合意されました。しかし、連邦制導入の是非などをめぐり、これに反対するイスラム教スンニ派が草案に同意せず、三日間の延長で同派を説得する形となりました。
国民議会のハサニ議長は、草案が期限内に提出されたことをもって、起草期限の再延長ではないとの認識を示しました。
シーア派勢力からは、スンニ派の同意がないもとでの採決強行を求める声も出ました。しかし、暫定憲法であるイラク基本法では、十月十五日までの実施が予定される国民投票で、全十八州のうち三州以上で反対が三分の二を超えると憲法草案が否決されると規定しています。このためスンニ派は、採決強行の場合は拠点の中部各州で否決運動をすることを示唆。他の各派も、この動きを考慮した形となりました。
ハサニ議長は会見で、延長協議の中心課題として、▽連邦制▽旧フセイン体制時の政党であったバース党の扱い▽大統領と内閣、国会の権限の関係―などを指摘。「対立点を解消するため全力をあげる」と表明しました。
ただスンニ派からは、「二十以上の項目で意見が分かれている。この憲法草案(の採択)は国家を分裂させる」(ムトラク憲法起草委員)などの声が出ており、三日間の協議で合意が得られるか予断を許さぬ事態が続いています。
憲法起草は当初、十五日が期限でしたが、各派間の激しい対立のため、暫定国民議会がイラク基本法を一部改正し、一週間の期限延長を決定していました。