2005年8月22日(月)「しんぶん赤旗」
財界首脳陣の会社から
自民党総研に出向
自民党の政調会長が所長を兼ねる政策シンクタンクの自民党総合政策研究所(自民党総研)に財界首脳陣の会社から社員が研究員として出向していることが二十一日までにわかりました。
出向させている企業は、二〇〇四年十一月現在の名簿によるとトヨタ自動車のほか東京電力、新日本製鉄、松下電器産業、UFJ銀行、朝日生命保険、清水建設、全日空、東京海上日動火災です。
トヨタ自動車は奥田碩日本経団連会長の出身企業。東京電力、新日鉄は日本経団連の副会長を出しています。松下電器の森下洋一会長は日本経団連評議員会議長、その他の企業も日本経団連の主要役員会社です。
自民党総研は一九八二年七月発足。「中長期的な観点から党の取り組むべき基本的な政策課題について調査・研究」を目的にしています。主任研究員については「民間の優秀な人材に出向の形で参加を求める」としています。
発足当初は三菱信託銀行、日本航空、清水建設、朝日生命から社員が出向。最多時は十社十人が派遣されていました。現在まで社員を派遣したことがある企業はほかに三和銀行、三菱商事です。
自民党総研が最近まとめたリポートには「日本経団連発行『活力と魅力溢(あふ)れる日本めざして』をうけて取り組むべき課題について」があります。『活力と魅力溢れる日本めざして』(二〇〇三年一月)は日本経団連の新ビジョンと呼ばれるもので、自民党総研リポートは日本経団連ビジョンにたいする自民党の政策対応策を示したもの。「消費税の引き上げは不可避。改革の全体像を示し、その一環として実施することが必要」などと提言しています。リポートは自民党総研の名による政策提言という形に代えて日本経団連の主張をおおむね受け入れる内容になっています。
日本経団連は企業政治献金のあっせんを昨年から再開しています。企業が人件費負担で社員を自民党へ出向させるのは隠れた政治献金です。自民党総研への社員派遣は、小泉政権四年の間に財界と自民党とがカネとヒトを通じる癒着関係が深まったことを示してます。