2005年8月21日(日)「しんぶん赤旗」
“有権者をバカにしてる”
4つの罪で一審は実刑
ムネオ被告立候補だって
受託収賄など四つの罪に問われ、懲役二年の実刑判決を受け、控訴中の鈴木宗男被告が地域政党「新党大地」(法律上は政治団体)を結成、きたる総選挙に出馬します。実刑判決が確定すれば仮に「当選」しても公職選挙法の規定で失職する立場なのに、自身の罪さえ決着つけずに立候補するなんてあまりに反省がなさすぎる――と強い批判がでています。
鈴木被告は「失業率が高すぎる」「こんな時代だからこそ信念を持った政治家が必要だ」などと「新党」旗揚げの理由を語っています。まるで庶民の味方、弱者の味方のような売りこみですが、これは鈴木被告の実像とは大違い。実際には、権力をかさにきた利権政治家であることが裁判でも明らかになっています。
鈴木被告は昨年十一月の東京地裁判決で、六百万円の受託収賄、五百万円のあっせん収賄、政治資金規正法違反、議院証言法違反と四つの罪すべてで有罪と認定されました。そのうえ、判決は「不利な証言をするものをひぼうするなど反省の情は皆無」「虚偽の陳述をしてはばからない」と被告を断罪し、実刑が相当としています。自分に敵対する者は威圧するかつてのスタイルそのままです。
道民からも「実刑判決を受けた人が選挙に出るとは有権者をバカにしています。道民の立場で政治を変えていくのはどの党か、みきわめる必要があります」(杉野智美・新婦人帯広支部事務局長)と批判が出ています。
もともと、鈴木被告は北海道開発庁や林野庁、外務省などの利権に食い込み、関係業者からわいろを受け取りました。牛肉偽装事件で有罪となったハンナン元会長の浅田満被告から高級車の提供を受けるなど深く業者と癒着してきました。
公職選挙法第一一条では、禁固以上の刑を受けた場合その執行が終わるまで選挙権と被選挙権がなくなります。鈴木被告の実刑が確定すればこの規定に該当します。
■裁判に決着が最低限のモラル
「ムネオ疑惑」を追及してきたジャーナリストの横田一氏の話 せめて裁判に決着をつけてから出馬するのが最低限のモラルです。鈴木被告は弱者の味方のようなことをいっていますが、ムネオ疑惑のさい、彼が役人を怒鳴りつけて恫喝(どうかつ)したことがいくつも明るみに出ました。鈴木被告は、自民党政治の体質そのものの利権政治家。目先を変えた「新党」でだまされたら大変です。