2005年8月19日(金)「しんぶん赤旗」
主張
小泉政治
雇用を壊して何が「改革」か
小泉首相は「失業率も低下してきた」と、「構造改革」で雇用が改善したかのように自慢しています。しかし、この四年間、多くの人が職場を追われました。生活を土台から崩され、生きる希望まで奪われた人も少なくありません。その苦しみを無視する態度です。
■弱肉強食の競争社会
小泉「改革」の柱の一つが大企業のリストラ支援です。二〇〇〇―〇四年の間に、人減らしで正社員は約三百万人も激減しました。完全失業者はなお三百万人前後もいます。
失業率が4%台に低下したといっても、パート、派遣などの増加が要因です。非正社員は四年間に二百三十万人余り増え千五百九十一万人、雇用者全体の32%に達します。雇用の二極化が劇的に進みました。
賃金が四年間連続して減り、雇用者報酬でみると十一兆円もの低下です。経済・生活苦を理由とする自殺が急増し、自殺者は四年間で約十三万人に達します。その背景に失業と倒産の激増があります。
若者の雇用はとくに深刻です。二十四歳以下の完全失業率は9・1%、二人に一人は非正社員です。不安定雇用で働くフリーターは四百万人以上です。
就職できず、仕事があっても安い賃金で使い捨て雇用という中で、希望を奪われた若者は数知れません。無限の可能性をもつ若者を粗末に扱う社会に未来があるでしょうか。
小泉「改革」でつくり出されたのは弱肉強食の競争社会です。「勝ち組」になったのは史上最高の利益をあげる大企業で、多くの国民は痛めつけられ「負け組」とされました。
冷酷非情な政治を「改革」の名で推し進めた自民党・公明党とこれに協力した政党の責任が問われます。
例えばリストラ支援の産業再生法です。政府は一九九九年から二〇〇四年三月末までに、九万四千人以上の人員削減計画に対し八百七十億円以上の税金をまけてやりました。同法は自民、公明など与党の賛成で成立し、二〇〇三年の改悪と五年間延長の際は民主党も賛成しました。
不安定雇用が急増した背景には、労働法制の改悪があります。労働者派遣法の二回の改悪で、派遣は原則自由化され、製造現場にも解禁されました。契約社員など有期雇用を使いやすくする労働基準法の改悪も相次ぎました。いずれも与党が賛成し、民主党は製造現場の派遣に反対しましたが、ほかは賛成しました。
日本共産党は、利益優先の無法なリストラと労働法制の改悪にきっぱり反対してきました。働く人たちの雇用と権利を守り、働くルールを確立するため、国民の運動と手をつなぎ、がんばってきました。
不払い残業の根絶へ、国会で二百四十回以上質問し、〇一年に厚生労働省から通達を出させました。党の追及や労働者、家族の運動が行政を動かし、不払い残業の是正額は四年余の間に六百億円を超えました。
財界の解雇自由化のたくらみをはね返し、会社による勝手な解雇を規制する条項を労働基準法に設ける上でも大きな役割を果たしました。
■均等待遇のルールを
不安定雇用の拡大に歯止めをかけ、非正社員の労働者としての権利を守り、正社員との均等待遇のルールをつくるために力をつくします。
未来ある若者に生きがいのもてる仕事を保障することは政治の責任です。日本共産党は、安定した雇用を増やし、すべての労働者が人間らしく働けるようにするために、全力をつくします。