2005年8月16日(火)「しんぶん赤旗」
主張
戦後60年の熱い夏
平和の流れ強める選択を
戦後六十年の節目の夏が、総選挙にむけ、ますます熱くなっています。政治家や政党が、侵略戦争の歴史をどう認識し、どのような態度をとるかは、日本の現在と未来を左右する大きな問題です。各党の実際行動をみきわめ、平和の流れを強める選択が求められます。
■「反省」に反する行動
小泉首相は戦後六十年の談話(十五日)で、「植民地支配と侵略」によって「とりわけアジア諸国の人々」に「多大の損害と苦痛を与え」たことに「反省」と「おわび」を表明しました。
しかし小泉首相は、靖国神社参拝をやめるとはいいません。むしろ、衆院解散後の記者会見でも、「戦没者への追悼の念」は「自然な感情」だとして、当然視しています。
靖国神社は、一九四五年まで、国民を戦争に駆り出す役割を果たし、戦後も、天皇制政府の侵略戦争を正しい戦争だったと宣伝するセンターになっています。首相の靖国参拝は、侵略戦争正当化論に政府の「公認」を与えるものです。
自公政権は、靖国神社と同じ戦争観をもりこんだ教科書を検定合格させ、自民党は靖国参拝と侵略美化教科書の採用を運動方針に掲げています。この夏も、自民党の安倍・幹事長代理や閣僚、国会議員(自民党、民主党)が靖国に参拝しました。
民主党の岡田代表も戦後六十年の談話を出し、「植民地支配と侵略」で与えた「大きな損害と苦痛」に「率直な反省と謝罪」を忘れてはならないとのべました。
ところが民主党には、「日本は悪い戦争をして負けた」のでなく「戦い方がまずかったから負けた」のだから「斯くの如く戦えば勝てた戦であったと確認しなければならない」(「西村真悟の政策」)と主張する前衆院議員がいます。「反省」どころか、開き直り、外国にけんかを売るような態度です。
衆議院で自民党、公明党、民主党、社民党が押し通した「戦後六十年決議」は、日本だけが悪いことをしたのではないという立場に立つものでした。“どっちもどっち”と日本の侵略戦争を合理化することになり、日本共産党は、反対しました。
侵略の過去を反省しない態度が、国連でも、アジアでも、日本外交ゆきづまりの原因になっています。首相が「反省」「おわび」をいっても行動でそれを裏切るようでは、アジアと世界の不信を広げるだけです。
シンガポールのリー・クアンユー顧問相は、「あなた方が儀礼的に『謝罪します』と言っても、その後で指導者が靖国神社を参拝する。靖国には戦犯もまつられている。これでは問題は終わらない」とのべています(「日経」十一日付)。
靖国神社や歴史教科書問題では、アジアにとどまらず、アメリカやヨーロッパでも批判が高まっています。
■侵略反対を貫いた党
日本共産党は創立以来八十三年、どんな困難があっても、植民地支配と侵略戦争に正面から反対し、たたかいぬいてきた政党です。侵略戦争を正当化する靖国神社の戦争観の誤りを根本から解明し、首相の靖国参拝中止や、植民地支配と侵略への反省を教科書に反映させること、アジア諸国との平和関係を築く大戦略をもつことなど、日本外交のゆきづまりを打開する方向を提起してきました。世界とアジアの平和を守る積極的な「野党外交」を展開しています。
この党を伸ばして、日本の平和の力を大きくしましょう。