2005年8月13日(土)「しんぶん赤旗」
韓国
8・15前 靖国を注視
日本の総選挙 外交も評価対象に
日本からの植民地支配の解放を記念する十五日の「光復節」を前に、韓国で日本の総選挙に注目が集まっています。各メディアは、小泉首相の毎年の靖国神社参拝が、教科書問題や自民党の改憲案発表とともに、日本への信頼を大きく損ねていると警告しています。(面川誠)
ソウル経済新聞は十日付社説で「今回の選挙では郵政民営化事業だけでなく、ごう慢極まりない外交姿勢も評価の対象になる」とし、「韓国など隣国との関係を再構築する特別な選挙になるよう期待する」と強調しました。
文化日報九日付社説は「首相が靖国に参拝して指導性回復に利用しようとすれば、アジアの友情を再び裏切る過ちだ。韓日、中日関係悪化で強まった外交的な逆風が吹き荒れるだろう」とけん制しています。
与党・開かれたウリ党の丁世均・院内代表は三日、党の幹部会議で自民党の改憲案と小泉首相の靖国参拝に懸念を表明し、「われわれが靖国参拝問題をはじめ、日本の右傾化と軍国主義の流れを深刻に受け止めるのは、侵略という過去の歴史のせいではない。それが将来、災いの再現につながりかねないと認識しているからだ」と語りました。
ハンギョレ紙十一日付のコラムは、「脱亜入欧」論者として韓国でも知られる福沢諭吉が一八八五年に書いた新聞社説で朝鮮、中国を「アジア東方の悪友」と見下したことに言及。「(小泉首相は)就任以来、隣国の反発を無視してひたすら米国に身をゆだね、日本の大国化にまい進してきた。日本という『悪友』を持つ隣国の悩みは深まる」と書きました。
文化日報十二日付が掲載した世論調査では、約75%の人が、日本の過去に対する不十分な反省や歴史わい曲などが、関係改善の大きな障害になっていると回答。一方、64%が、日本との関係を「改善しなければならない」と答えました。ソウル新聞は二日付社説で「日本は今からでも、多くの韓国人が日本に抱いている拒否感について真剣に考えてほしい」と訴えました。
韓国では近年、日本による侵略戦争に動員され戦死した朝鮮人軍人・軍属が靖国神社に合祀(ごうし)されていることへの批判が強まり、遺族だけでなく市民団体、国会議員にも分祀を求める声が強まっています。