2005年8月13日(土)「しんぶん赤旗」

主張

米軍ヘリ墜落1年

今なお頭上に危険がいっぱい


 米軍普天間基地(沖縄県)の大型輸送ヘリCH53Dが、基地に近接する沖縄国際大学の構内に墜落・炎上してから一年がたちます。イラクへの出撃命令を受け、整備もそこそこに、市民の頭上で激しい飛行訓練をしている最中の墜落事故でした。

 戦闘を想定した米軍機の飛行訓練は、常に墜落の危険と隣り合わせです。一日数百回もの飛行で、「いつ落ちるか」という宜野湾市民の不安が現実のものとなり、基地撤去を求める声がさらに高まりました。

■横暴な米軍

 墜落現場から道路をへだてて住宅が密集しています。無数の破片があちこちの家屋を直撃し、折れたブレード(羽根)が玄関先や通学路に落下しました。死傷者を出す危険のあった大事故であり、周辺住民の多くは、大きな恐怖にさらされ、心に傷を負いました。七日、米軍ヘリ墜落一年を前にして「普天間基地問題シンポジウム」が開かれました。自宅に無数のコンクリート片が飛び込み、生後六カ月の息子をかかえて逃げ出した女性は、事故直後から子どもが激しく夜泣きし、眠れない日が続いたと語り、「今年四月から上空でヘリの旋回飛行が再開され、子どもたちから離れられず、夜も眠れない。一日も早く静かな生活を取り戻したい」と訴えました。

 普天間基地は、宜野湾市(人口八万人)のど真ん中を占拠し、市民を脅かす元凶となっています。米軍機の騒音は激痛となり、墜落、部品落下の恐怖をまき散らしています。ラムズフェルド米国防長官ですら、「こんなところで事故を起こさない方が不思議だ」(二〇〇三年十一月)といいました。危険と知りつつ飛び、事故を起こした以上、米軍は、宜野湾市上空での飛行をただちにやめるべきです。

 全国的にみても、米軍機の緊急着陸が多発しており、国民への脅威は増大しています。ヘリ墜落以降、沖縄と本土の民間施設などへの米軍機の緊急着陸は十二回になります。沖縄では、嘉手納基地の戦闘機二機が接触し基地に緊急着陸。今年五月、同基地のヘリが久米島の農道に着陸したときは、すぐそばで島民が農作業中でした。本土では、横田基地のヘリが横浜市の「みなとみらい」臨港パークに不時着、離陸もできませんでした。七月三十日、厚木基地のヘリが藤沢市(神奈川県)の片瀬海岸に不時着しました。多数の人が海水浴を楽しんでいる頭の上での事故であり、一歩間違えば大惨事になるところでした。

 米軍は、ヘリ墜落後、整備強化を約束しましたが、緊急着陸をなくすことはできません。現に、十二日にも、在沖縄海兵隊所属の中型輸送ヘリ三機が、山口宇部空港に緊急着陸しています。米軍機が飛ぶ限り、墜落事故の恐怖はなくなりません。

■安保廃棄かかげて

 沖縄国際大学は、空高くアドバルーンをあげました。「NO FLY ZONE(飛行禁止区域)」と書きました。飛行をやめさせる思いがこめられています。

 米軍機の墜落事故の恐怖をなくすには、米軍機の飛行を禁止するしかありません。普天間基地の即時閉鎖・早期返還が不可欠です。

 日本国民の命を守るのが日本政府本来の役目です。その立場からアメリカ政府と交渉すべきであり、“日米安保のために命の危険をがまんせよ”といわんばかりの態度は、国民の願いをふみにじるものです。

 日本共産党は、日米安保条約廃棄、基地撤去のため力をつくします。


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