2005年8月12日(金)「しんぶん赤旗」

ここに野党あり

オール与党国会と共産党

予算・介護改悪

“審議低調”の中 存在感


 「審議の中身はため息をつきたくなるほど低調だった」(「毎日」三月二十四日付社説)――史上四番目のスピード成立となった二〇〇五年度政府予算案。マスメディアはいっせいに、国会審議の形がい化、空洞化を指摘する論評、社説を掲げました。

■パネルに見入る 庶民向けの定率減税半減・廃止や社会保障分野の負担増など、〇六年度までの二年間に七兆円もの負担増を押し付け、さらに消費税大増税へとすすむ政府の予算案。この問題を攻める民主党も、社会保障の給付抑制、負担増は不可避として、政府に消費税増税を迫る立場です。

 国民の視点に立った論戦で問題点を追及したのは、日本共産党国会議員団でした。

 「かぜと診断しておいて布団をはがすような話だ」―志位和夫委員長は二月三日の衆院予算委員会で、家計所得が減っているなかでの、負担増、増税路線という戦後例のない悪政を批判。大不況の引き金を引いた一九九七年の橋本内閣の九兆円負担増の二の舞いになりかねないと指摘しました。

 志位氏は所得税や住民税の増税が、介護保険料や国民健康保険料の引き上げにも連動し、高齢者世帯を直撃する深刻な問題もとりあげました。負担増が雪だるま式にふくらんでいく試算のパネルを、閣僚が見入る場面もありました。

 この問題は、識者も「(小泉内閣が)やろうとしている政策の実態は、共産党の試算によれば七兆円の国民負担増なんです」(政治評論家の国正武重氏、『世界』六月号)と注目。民間のシンクタンクや経済誌が「個人消費回復にマイナス」と警告を発するなど、日本経済への影響をめぐって予算案を批判する世論がいっそう強まりました。

■「民主は裏切り」 短期間の準備でかつてない負担増を押しつけるのが自民・公明両党に民主党も加わって強行した介護保険法改悪です。十月から介護保険施設の入所者に一人あたり新たに三十九万円(年間ベース)の利用者負担を強いるもの。居住費、食費を保険対象外とし全額自己負担(ホテルコスト負担)としたのです。

 一方で国の負担を減らすために軽度の人の在宅サービスを切り捨てる「新予防給付」をもりこんだ悪法です。

 論戦を通じてはっきりしたのが軽度サービスの切り捨てにまったく根拠がなかったことです。決定打を放ったのが日本共産党の質問でした。家事代行など軽度者へのサービスは状態をかえって悪化させるというのが政府の言い分。これにたいし小池晃政策委員長は、家事代行などの過剰介護が原因で悪化したケースは皆無だった民間の調査結果を提示して追及(六月十六日参院厚生労働委)。これを否定する調査データがないことを厚労省に認めさせたのです。

 ホテルコスト負担でも高齢者の年金を上回るほどの大負担増、介護保険料・国保料の負担増までまねくことを示し、撤回を要求。論戦全体をリードしました。

 こうしたなかで食費負担額は当初の厚労省案(月四万八千円)から六千円引き下げることになりました。特別養護老人ホームの従来型個室の入所者には居住費を約四万円も引き下げる経過措置が実現しました。

 民主党は、現場の介護関係者の強い批判を受け、衆院審議では「こんな大改正をやるべきではない」(山井和則議員)などと政府を追及しました。しかし「政権準備政党」を打ち出した党執行部の意向で一転して賛成に転向。民主党議員の一人は「採決までは反対と思っていたら、採決の日、突然集められて賛成することになった」と話します。

 参院では、ホテルコスト負担について「公平化のためやむを得ない」(山本孝史議員)と居直り、賛成討論。傍聴席からは「民主は裏切りだ」の声があがりました。

 (つづく)


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