2005年8月11日(木)「しんぶん赤旗」
主張
「自立支援」法廃案
福祉破壊に抗してのたたかい
小泉内閣と、自民党、公明党が成立に全力をあげていた障害者「自立支援」法案が、衆院解散を受けて、廃案に追い込まれました。
福祉サービスの利用に、一割負担を導入する同法案は、障害が重く必要なサービスが多い人ほど、負担が重くなります。生きるための介助を“個人の利益”“応益”だといって負担を求めるのは、障害者の生存権を奪うものです。
■問われる各党の態度
障害者とその家族らは、衆院厚生労働委員会で審議が始まった翌日の五月十二日に六千六百人が、また、同委員会での採決がねらわれるなか、七月五日には一万一千人が参加して、大集会を成功させてきました。国会の傍聴者も多く、採決が行われた衆院本会議(七月十五日)は、車いす用のスペースがすべて埋まりました。参院の実質審議の初日(七月二十八日)には傍聴者が二百人を超え、記者席を全部開放しました。
「慎重審議」と「応益(定率)負担反対」を切実に求めた障害者・家族、関係者の共同・連帯したねばりづよい運動が、国会会期末ぎりぎりまで参院での採決を許しませんでした。
日本共産党は、障害者「自立支援」法案を、“福祉破壊の大悪法”と批判し、国会で障害者・家族の声をとりあげ、廃案のために全力をあげてきました。国民の力で政治を動かす成果をあげたことを、心から喜びたいと思います。
自民党や公明党は、応益負担がもたらす障害者・家族の不安を否定できないため、負担軽減策を打ち出しました。しかし、応益負担をそのままにして、いくら軽減策を持ち出しても、大幅な負担増は変わりありません。社会福祉法人の減免を利用しても月一万円以上の負担増になり、障害者本人が扶養家族から外れる仕組みを選択して負担上限を低くできても今度は税制上の扶養控除が受けられず親が年収三百万円で十万円を超える増税になる―。こういう問題が日本共産党議員の質問で明らかになりました。
低所得者や重度の障害者の負担を軽減する有効な方法は、所得に応じた負担です。それを応益負担に変更するから、矛盾が生まれるのです。
応益負担にどんな態度をとるのかは、障害者・家族の不安に真剣に向き合えるかどうかの分かれ目です。
自民党、公明党は、「生活守る障害者自立支援法」と、実態と正反対の宣伝をしています。その矛盾は、負担軽減策で解消できるようなものではありません。
障害者・家族らの大集会(五月十二日)で日本共産党は「何より利用者負担について、初めての応益負担という仕組みを入れる。このことにきっぱりと反対」とのべました。民主党は、介護保険との統合が「先送りになってしまった」ことや所得保障の検討がないことが問題で、「極めてわい小化された、費用の面で利用者に押し付ける、情けない賛成できない法案」とのべ、応益負担を正面から批判できませんでした。
■日本共産党の前進で
応益負担の導入を中心に、障害者・家族に痛みを押し付けるやり方は、小泉内閣の「構造改革」路線の一つです。
尾辻厚生労働相は、総選挙後の国会に障害者「自立支援」法案を再提出することを表明しました。
福祉破壊の大悪法を二度と提出できないように、国民とともに廃案に追い込んだ日本共産党を前進させましょう。