2005年8月7日(日)「しんぶん赤旗」
米軍“新基地”詳細分かる
最新式格納庫や弾薬庫
岩国
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米海兵隊岩国航空基地(山口県岩国市)の滑走路新設のための埋め立て拡張工事で、政府が建設を計画している米軍施設の詳細(図)が明らかになりました。最新式の格納庫や弾薬庫など多数の施設建設を予定。岩国基地を大幅に増強し、最新鋭の基地に造り変える内容になっています。
拡張工事は、「騒音の軽減」のために滑走路を基地の海側一キロ先に移すとの口実で進めているもの。埋め立て面積は約二百十三ヘクタールにのぼります。
防衛施設庁が日本共産党の赤嶺政賢衆院議員に提出した資料などによると、新しく建設する「飛行場施設」は、滑走路のほか、平行誘導路、連絡誘導路、管制塔など。現在の滑走路もそのまま残して誘導路として利用、現管制塔は撤去するとしています。
格納庫六棟も新たに建設。老朽化している現在の格納庫は撤去し、米国防総省の最新基準に沿ったものにする予定で、一棟につき三―五機の整備が同時に可能になります。駐機場も新滑走路付近に新たに建設します。
このほか、新たな弾薬庫も建設。現在は散在している弾薬庫(地上覆土式十三棟、地上式四棟)を一カ所に移転・集約し、地上覆土式二十三棟、地上式一棟を造ります。建設場所は新しい港湾施設の近くで、米海兵隊は「港に兵器を運ぶ時間を最小限にできる」(岩国基地機関紙「トリイ・テラー」〇四年六月十八日号)と高く評価しています。新港湾施設は水深十三メートルで現行の八メートルを上回り、強襲揚陸艦など大型艦船の入港も可能です。
日米両政府による在日米軍再編協議では、岩国基地に米海軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機部隊を移転する案などが検討されています。岩国基地の増強が、部隊移転案の呼び水になっている形です。新施設の建設後に撤去するとしている現在の管制塔や格納庫などの敷地も引き続き、米海兵隊に提供。新たな部隊を受け入れるスペースも十分確保できるとみられます。
●岩国基地の拡張工事
総事業費は約二千四百億円で、すべて日本政府の「思いやり予算」で支出。二〇〇八年度末に完成の予定です。基地全体の面積は約五百七十四ヘクタールから約七百八十六ヘクタールへと一・四倍に拡大します。南地区の埋め立てはすでに完了し、現在、北地区への埋め立て土砂の搬入が進んでいます。