2005年8月3日(水)「しんぶん赤旗」
元教員5人 都を提訴
「君が代」不起立 嘱託不採用は不当
東京都教育委員会の「日の丸・君が代」強制に従わずに処分されたことを理由に嘱託を不採用としたのは不当だとして、三月に退職した元都立高校教員五人が二日、東京都を相手取って損害賠償と慰謝料の支払いを求め、東京地裁に提訴しました。
五人はいずれも二〇〇四年の卒業式での「君が代」斉唱で起立せず、戒告の不当処分を受けました。退職後も嘱託として勤務し続けることを希望しましたが、都教委は五人を不採用としました。
教員側は訴状で、都教委の「日の丸・君が代」強制は憲法、子どもの権利条約、教育基本法に反する違憲・違法なものだと指摘。七月に都立高校教員らが行った「再発防止研修」の執行停止を求める訴訟で、都教委側が五人の嘱託不採用について「君が代」斉唱の際、起立しなかったことを理由にしていることを紹介。違憲・違法な都教委の通達や職務命令に反したことを理由に不採用としたのは許されないとしています。五人は東京地裁に訴状を提出した後、東京・千代田区の弁護士会館で記者会見しました。
原告団長の宮坂明史さん(60)は「都教委は『日の丸・君が代』強制に従わない者に処分、再発防止研修、再雇用の道を断つという二重三重の処分を重ねている。都教委の違憲違法な教育行政を許しておくわけにはいかない」と訴えました。
都教委の「日の丸・君が代」強制に対しては昨年、不当処分を受け嘱託採用を取り消された教員九人が、その撤回を求めて東京地裁に提訴。ことしも嘱託採用を取り消された都立高校教員一人が撤回を求めて七月二十八日に提訴しています。