2005年8月1日(月)「しんぶん赤旗」

主張

ASEANと日本

アジアの期待に応えているか


 東南アジア諸国連合(ASEAN)と周辺国などとの一連の外相級会議で、第九回ASEAN+3(日中韓)首脳会議と第一回東アジア首脳会議の今年十二月開催が決まりました。

 ASEAN+3は、「東アジア共同体の実現のために重要」(ASEAN外相会議共同コミュニケ)な役割を担い、首脳会議や分野別の閣僚級協議などを積み重ねています。

■不満と懸念を表明

 東アジア首脳会議には、東南アジア友好協力条約(TAC)への加入を条件として、ASEAN+3のほかインド、ニュージーランド、オーストラリアの参加が確定しました。ASEANの主導的な役割も確認しました。東アジア共同体を展望する東アジア首脳会議は、おそらく二年ごとに、ASEANの国で開催されていくことになります。

 「日本は東アジア共同体に大きな貢献ができる」(ラオス報道官)、「ASEANと日中韓の協力はとりわけ重要」(タイ報道官)との期待があります。問題は、日本政府の実際の行動が期待に応えるものになっているかということです。

 TACに、日本は昨年加入しました。パプアニューギニアと韓中印ロ、パキスタンにくわえて今回、モンゴルとニュージーランドが加入し、オーストラリアも加入宣誓しました。

 地球人口の半数を占める地域を包摂するようになったTACは、各国の主権・平等、紛争の平和解決、武力行使の放棄を基本原則とし、地域の平和、安定、協力の行動準則になっています。各国がこの原則に基づいて協力を強めることは、アジアと世界の平和と安全に資するでしょう。

 ところが、今回の会議で見過ごせない事態が生じています。

 ASEAN外相が「国連改革にかんする声明」を出し、「安保理拡大問題の扱い方」への「不満」と、「個々の国連加盟国が一方の側か別の側かと選択するようになっていること」への「懸念」を表明しました。中国、韓国もこの声明に賛同しました。

 町村外相が安保理常任理事国入りを狙ってアフリカの国々などへの働きかけに走り回っているさなかであり、日本外交にたいする厳しい批判です。日本の常任理事国入りは、アジアの国々の理解と協力を得られないようなやり方では進展するはずもありません。

 アジア諸国は、歴史認識を含め、アジアと真剣にむきあう日本外交になっているかどうかを見ています。日本の植民地支配と侵略戦争を正当化する靖国神社に小泉首相が参拝をくりかえしたり、侵略美化の『新しい歴史教科書』(扶桑社)を検定合格にしたことは、侵略で犠牲を強いられたアジア諸国の人々を傷つけています。しかも、日本国憲法九条改悪で、日本をふたたび海外で戦争できる国にしようとする動きがあるだけに、警戒感が強まっています。

■道理ある平和外交を

 道理のない行動でアジア諸国の期待に背き、孤立することは、日本とアジアの未来を暗くします。

 日本国憲法の平和原則は、TACの基本原則と重なり、国連憲章とも重なります。この原則に沿った行動をとってこそ、アジア諸国と人々の理解と協力を広げていくことができます。そういう方向に日本外交を転換することは、私たちがアジアの一員として日本自身の未来を開く道であり、アジアの地域協力を前進させるために避けられない課題です。


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