2005年7月27日(水)「しんぶん赤旗」
21世紀は核廃絶の最後のチャンス
パグウォッシュ会議総会
国際司法裁判所 元判事が講演
広島で開催中のパグウォッシュ会議年次総会では二十六日夕、国際司法裁判所元判事のクリストファー・ウィラマントリー氏が記念講演し、「二十一世紀は核廃絶の最後の好機。この機会を失えば後はない」とし、科学者が指導的役割を果たすよう呼びかけました。
同氏は、広島、長崎への原爆投下から六十年たつが、核保有国が増え、核大国が国際法の規制から逃れようとするなど、核戦争の危険は高まっていると警告。自衛権や抑止論の名目で自国の核保有を正当化しようとする核大国を批判しました。
これに先立ち同日の会合では、「東アジアの安全保障」と「軍縮、不拡散の将来」の二つのパネル討論が行われました。
軍縮、不拡散の討論では、「パネリストの発言を聞くと核廃絶の見通しは暗いとの印象をもった」との感想が参加者から出ました。司会を務めたローチェ元カナダ軍縮大使は、「自国の核兵器を完全廃絶するとの核保有国による明確な約束」を明記した二〇〇〇年の核不拡散条約(NPT)再検討会議の合意などの成果があがっており、一般市民の間では核廃絶を求める声が多数派だと強調。「核に固執する政府に市民社会の圧力を感じさせよう」と訴えました。
東アジアの安全保障をめぐる討論では参加者から、「東アジアの非核化を論じているのに(北朝鮮の核政策ばかりが議論になり)米国の核政策が議論にならないことに驚いた」(エジプト)、「米国の核抑止を受け入れ、米国が他国を核攻撃することは構わないとする日本政府の立場と、日本国民の核廃絶への強い願望との間には緊張があるのでは?」(中国)といった意見が出ました。