2005年7月27日(水)「しんぶん赤旗」
主張
外相の米軍擁護発言
国民の痛みどうでもいいのか
米兵の性暴力をうけた体験をもつ沖縄の女性が、最近の米兵による女児性暴力事件に心を痛め、沖縄地元紙への投書で、「一日も早く基地をなくしてください」と訴えました。これが国会でもとりあげられ、答弁にたった町村外相は、「米軍があるから日本の平和と安全が保たれている」「一面だけをとらえるのはバランスのとれた考え方ではない」と述べました(十三日衆院外務委)。悲痛な体験から必死の思いで基地撤去を訴えているというのに、何と心ない、冷酷な態度でしょうか。
■米軍こそ危険
「米軍が国民の平和と安全を守っている」という外相の発言は、イラク侵略戦争などアメリカによる平和破壊と日本を侵略戦争の足場として使っている現実を逆さまに描くものです。基地そのものの危険性もきわめて重大であり、「平和と安全」は守られていません。
米軍の犯罪・事故は、一九五二年から二〇〇四年までに二十万一千件を超え、国民の死者は千七十六人です。国民は、米軍に殺されたのです。件数は、表面化しなかったもの、沖縄返還(七二年)前の沖縄分を加えるとさらに増えます。
なにより内容が重大です。
七三年から〇四年までの刑法犯罪は約七千件(警察庁資料)。その一割は凶悪犯(殺人・強盗・放火・性的暴行)で、六百八十三件にのぼります。粗暴犯千三百四十一件、窃盗犯三千五百五件、知能犯二百件、風俗犯百二十四件、その他千八十件。
昨年は、岩手県盛岡市で米兵二人がメリケンサックで男性を殴打、殺人未遂。東京都渋谷区で万引き・店員を殴打、強盗致傷。神奈川県座間市で性的暴行。長崎県佐世保市で、性的暴行・傷害事件を引き起こしています。沖縄では、米兵による凶悪犯罪は日常茶飯事です。性的犯罪は、少女暴行事件(九五年)以降もあとを絶たず、最近も女児へのわいせつ事件をおこしました。
米軍機による被害も重大です。神奈川県大和市での墜落(六四年)では子ども三人を含む五人が死亡、同県横浜市緑区の民家への墜落(七七年)では、母子三人の命を奪いました。沖縄では、石川市(現うるま市)の小学校への墜落(五九年)で児童ら十七人死亡、嘉手納町への墜落(六二年)で七人死亡、などの大惨事。昨年も、大学構内にヘリコプターが墜落するという重大な事故がありました。墜落事故は、これ以外にも全国各地で起きています。
米軍機の爆音も耐えがたい苦痛です。米空母艦載機は、厚木基地(神奈川県)周辺で夜間離着陸訓練をくりかえし、広い範囲の住民から、静穏な生活を奪っています。海軍、空軍、海兵隊の航空機は、中国地方、東北地方をはじめ全国各地で、先制攻撃のための超低空飛行をおこない、住民を爆音で苦しめています。
米軍が国民を危険にする元凶です。
■基地撤去しかない
町村外相は、「現実にテロリストも何でもある」などといって、米軍駐留の必要性を強調しています。しかし、駐留によって、現に、国民が殺され、傷つけられる事件が起きており、日本国民を代表する政府なら、それをなくす措置をとるのが当然です。それもやらずに、“テロの危険”を言っても、国民の安全を真剣に考える態度とはいえません。
日本国民の安全を守るためには、米軍に日本から出て行ってもらうしかありません。米軍基地の縮小・撤去の運動を強めることが重要です。