2005年7月25日(月)「しんぶん赤旗」
空母母港化にも核密約適用
73年 米国の立場、日本政府が受け入れ
核兵器を積載した米軍機や米艦船の日本への「一時立ち寄り」(トランジット)は日本政府との事前協議の対象にはならないとする日米間の核密約について、米政府が、米海軍横須賀基地(神奈川県)を米空母ミッドウェーの母港にした一九七三年に、米空母の母港化も「駐留」(ステイショニング)にはあたらない「一時立ち寄り」であって、密約の適用を受けるとの解釈をとっていたことが二十四日、分かりました。
国際問題研究者の新原昭治氏が同日、神奈川県相模原市内の講演で米政府解禁文書を示して明らかにしたもの。この中で、空母母港化にも核密約が適用されるという米政府の立場を、日本政府が受け入れていたことも分かりました。
新原氏が示したのは、一九七三年四月十九日付でロジャーズ米国務長官から在日米大使館に送られた「極秘」電報。「米海軍艦船の核能力をめぐる質問についての手引き(ガイダンス)」というタイトルが付いています。
同電報は、長期間にわたって駐留・停泊することになる空母の母港化について「『母港化』は『駐留』ではない」と一方的に解釈。「母港化した空母(巡洋艦やその他の母港化した艦船も同じ)の寄港あるいはその他の米海軍艦船の寄港はトランジット取り決め(注・核密約のこと)の部類に入る」として、空母母港化も核密約の適用を受けるとの立場を明らかにしています。
さらに、こうした「米国政府の立場を、日本政府は受け入れている」と明記し、「したがって、事前協議の必要は除去されている」と強調しています。
同電報は「米政府も日本政府も事前協議の解釈については公の場で説明し得ないので、この領域に探りを入れようとする動きには水を差し、トランジット取り決めを傷付けることにつながる入り口をいっさい開けないことがわれわれ相互の利益にもなる」とし、秘密保持も強調しています。
空母ミッドウェーが母港として横須賀に入港したのは七三年十月五日です。今回の資料は、核兵器を積んだまま母港化が強行されたことを強く示唆するものです。