2005年7月24日(日)「しんぶん赤旗」
石綿危険知らず現場仕事
建設労働者・遺族ら会見
労災認定迅速に
アスベスト(石綿)をふくむ建材を扱った建設労働者に中皮腫や肺がんの被害が多発しており、労災認定の迅速化が緊急に必要だ――。二十三日、首都圏(一都三県)の建設労働者の被害者や、遺族、専門医らが記者会見し、建設労働者に深刻な被害が広がっていることを訴えました。
会見したのは、全建総連加盟の東京土建(組合員十二万人)、埼玉土建(約八万人)、神奈川県建設労連(同約五万三千人)、千葉土建(同約二万五千人)と、アスベスト問題にとりくむ職業病疾患疫学リサーチセンターの五つの団体。
「夫は労災申請して二日後に亡くなった」と訴えたのは、東京・目黒区に住む浅野初枝さん(67)。「労災認定を求めて、書類づくりに四カ月もかかり、大変な思いをした。夫は配管工でアスベストで覆われた耐火パイプの切断をしていた。何十年も前の仕事の記録をそろえねばならず、認定に一年一カ月かかった。認定を迅速化してほしい」と強く訴えました。
杉並区の塗装工、根本利明さん(57)も「肺がんの疑いがあるといわれ、肺の中からアスベストが出てきた。労災認定まで七カ月もかかった。時間がかかりすぎる。三十年前の職場を調べ、書類を集めるのは大変だった」と語りました。
職業性疾患疫学リサーチセンターの海老原勇理事長は、「建設労働者のアスベスト健康被害は、中皮腫だけでなく肺がんも多い。なのに、職業性肺がんが見逃されてきている」と強調。医者の立場から早期の全面救済を求めました。五つの団体代表は「アスベストの九割が建材に使われた。被害を受けているのはわれわれの仲間だ」と強調。使用・製造の即時全面禁止、労災適用の柔軟簡素化や時効五年の見直しなど五項目を国に要求しました。