2005年7月24日(日)「しんぶん赤旗」
JRの安全考える
事故の背景 規制緩和や民営化
大阪
JR福知山線脱線事故の背景と原因を検証し、どうすれば教訓を生かせるか考えようと、「安全・安心のJRを考える集い」が二十二日夜、大阪市北区で開かれ、四百五十人が参加しました。主催は、国労西日本本部、建交労西日本鉄道本部、大阪労連、全労連近畿ブロック、民主法律協会。
ノンフィクション作家の柳田邦男、日本大学教授の桜井徹、新聞労連委員長の美浦克教、弁護士の国府泰道、国労西日本本部書記長の田中博文、建交労西日本本部書記長の藤本健司の各氏がパネリストとして発言しました。
柳田氏は、マンションが建ち、カーブの曲がりがきつくなった環境の変化や、車両の安全性の低下があったのに、安全を守るシステムは以前のままだったと報告。「最近、一流といわれる企業で事故や不正が続発している背景には、JR西のような営利中心・安全軽視が広がっていることがある」と指摘しました。
美浦氏は、一九九〇年代、国民の疑問や論議を置き去りにして規制緩和がすすめられたところに問題の根があると取材経験から強調。問題提起できなかったマスコミの責任も挙げました。
会場から発言したJR西の現職運転士は、長時間勤務など劣悪な労働条件の改善が安全運行には欠かせないと報告しました。
柳田氏らは「民営化によって経営者の関心は利益の数字のみになり、安全の理念や危機意識の希薄化など経営の失敗を招いた。自社の車両に愛する家族が乗っているという気持ちを、現場も経営者ももたなければならない」と提起しました。