2005年7月23日(土)「しんぶん赤旗」
米下院
ベネズエラ向け放送認可へ
「米国への脅威」口実に
【メキシコ市=松島良尚】米下院は二十日、中南米統合を目的としてベネズエラが中心になって進めている新テレビ局「テレスル」に対抗するため、ベネズエラに向けて「正確で客観的」な情報を発信するテレビ・ラジオ放送計画を認める支出権限法修正案を可決しました。
ベネズエラのチャベス大統領は、「米国が表現の自由をふみにじる大国であることを改めて示すもの」と強く非難しています。
修正案を出したのは共和党のコニー・マック下院議員(フロリダ州選出)。記者会見で、「『テレスル』は西半球の力関係の掘り崩しを狙っており、米国への脅威だ」「きょう米国は、チャベスが国民から自由を奪い続けているのを見て見ぬふりはしないというメッセージを送った」と述べました。
可決された修正案は上院に送られます。
チャベス大統領は、「米政府が放送を実施するなら断固とした措置をとる」と強調。米国からの放送を遮断する手段などにふれました。
「テレスル」の責任者であるイサラ通信・情報相は、「ブッシュ米政権の新たな犯罪」は、「テレスル」がまだ放映前なのに米国の傷口に触れ、米政府を悩ませているからだと述べました。
「テレスル」は今月二十四日から部分的に放送を開始する予定。中南米地域のニュースを専門に扱っているのは米国のCNN放送だけというもとで、「われわれの指針は南だ」をスローガンとし、この地域の人々自身の手で自分たちの価値観やイメージを普及することが目的です。
「テレスル」はチャベス大統領が提案し、ベネズエラのほか、アルゼンチン、ウルグアイ、キューバが出資。放送局はベネズエラの首都カラカスにおかれています。