2005年7月22日(金)「しんぶん赤旗」
70年代からアスベストの危険指摘
禁止求めた共産党国会議員団
深刻な被害が浮かび上がるアスベスト(石綿)。日本共産党国会議員団は七〇年代から一貫して国政の重要問題として取り上げ、労働者の健康被害や環境対策を国会で追及してきました。先駆的な問題提起は二十日の衆院厚生労働委でも注目され、マスメディアでも「周辺住民らへの影響の可能性を国が三十年以上前に認識していたことを裏付けるもの」(「朝日」二十一日付)と一面トップ記事でふれました。(小林拓也)
■72年
「朝日」が紹介したのは一九七二年の山原健二郎衆院議員の質問です。アスベストの製造工場で従業員に肺がんが多発していると明らかにし、全国的な問題として「がんの定期検診とかあるいは精密検査、健康診断などがなされているんでしょうか」と当時の厚生省に質問。厚生省は「その(工場)周辺の者、住民というような問題が起こり得る可能性がある場合には、一般住民の検診についてはわれわれのほうで考慮する必要がある」(滝沢正・公衆衛生局長)と答弁しました。
■85年
八五年には、上田耕一郎参院議員が建設委員会で、建設労働者の実態を紹介。アスベストは「労働者も吸うし、通行人の付近の人も吸う。これもやはりいろんな人間の健康に対する悪影響が出ている」と、周辺住民にもかかわる問題として労働省(当時)に取り締まりの検討を求めました。
■88年
八八年には革新共同の田中美智子衆院議員が社会労働委員会で、直通寝台特急「北斗星」の食堂車にアスベストが使われている問題を指摘。そこで働く労働者の安全性を調査することを要求しました。
■89年
政府の対応の遅れが問題となっていますが、日本共産党はアスベスト製造・使用の禁止も政府に提起してきました。八九年には沓脱タケ子参院議員が環境特別委員会で、アスベストががんの一種である中皮腫の原因であると指摘。アスベスト使用規制を提起し、政府側は「規制を加えたいというぐあいに考えている」と答弁しました。
■92年
九二年には、西山とき子参院議員が厚生委員会で質問。「アスベストの使用の禁止というのは世界の趨勢(すうせい)になっている」と強調し、「製造、使用を抜本的に規制する方向を打ち出すべき」だと求めました。
■労災認定
労災認定の視点からも取り上げ、二〇〇〇年には、大森猛衆院議員が労働委員会で、中皮腫とアスベストの因果関係を指摘。中皮腫の患者の全面的な調査を行うことを要求しました。アスベストの全面禁止を求めましたが、政府は「十分な情報収集を行った上で、適切な対応をしたい」と言うにとどまりました。
■実態調査
阪神・淡路大震災直後の九五年二月十日に岩佐恵美衆院議員が環境委員会で、神戸のマンションの崩壊現場でアスベストがむき出しの状態になっていて大気中に飛散していることを紹介。実態調査を求めました。(肩書はすべて当時)