2005年7月21日(木)「しんぶん赤旗」

イラク市民犠牲2万5千人

NGO報告書 戦争泥沼化のなか


 【ロンドン=西尾正哉】英米の学者らが組織する非政府組織(NGO)「イラク・ボディーカウント」は十九日、報告書を発表し、イラク戦争が始まった二〇〇三年三月から〇五年三月までの二年間に米英軍やイスラム過激派組織などによる民間人の死者が二万五千人に上ると指摘しました。

 「イラク民間人犠牲者に関する報告書 二〇〇三―〇五年」と題する報告書は、一万に及ぶメディア報道からデータを抽出し、整理・分析したもの。報告書によると、二年間で二万四千八百六十五人のイラク市民が死亡。女性は8・7%、子どもは9・3%を占めています。

 市民のほとんどは、一般居住地区で死亡しており、都市ではバグダッドが一万一千二百六十四人で45・3%を占め、次いで中部ファルージャは千八百二十四人となっています。

 米国による大規模戦闘終了宣言(〇三年五月一日)以前と、その後の〇三年末まで、〇四年末までの三つの時期を比較すると、それぞれ死者は七千八十八人、六千二百十五人、一万一千三百十五人となっており、イラク戦争・占領の泥沼化のなかで民間人の死者が増えていることを示しています。

 「イラク・ボディーカウント」は死者の死亡要因を七つに分類し、うち米主導の連合軍だけの要因による死者が全体の37%で、そのほとんどが米軍によるものです。反連合軍との交戦などを加えると連合軍がかかわっているのは42・3%になります。また、反占領勢力の攻撃による死者は9%、英国の医師団が定義するテロ、犯罪者がかかわったものは37・2%となっています。

 イラク市民の死者数に関しては、これまでに英医学誌『ランセット』が昨年十一月、約十万人との推計を発表。またスイスの国際関係大学大学院研究所は今月、戦争開始以降、戦闘や武器を直接の原因とする犠牲者数を三万九千人と推計(期日は特定されていない)しています。

 「イラク・ボディーカウント」は今回の結果を、米英政府が民間人犠牲者数を公式に調査しないなか、新聞情報など入手できる情報から厳密に見積もった「最低限の数字」としています。

 イラク民間人死者の死亡要因
  死亡要因死者数%
米主導の連合軍のみ927037.3
反連合軍のみ23539.5
連合軍と反連合軍が関与6232.5
MOH定義の軍事行動6352.5
MOH定義のテロ攻撃3181.3
主に犯罪者による殺人893535.9
不明273111.0
死者総数24865100.0
MOHは英国の公衆衛生担当の医師
 (イラク・ボディーカウントの報告から)


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