2005年7月21日(木)「しんぶん赤旗」

主張

都市型戦闘訓練

住民を被弾の危険から守ろう


 米軍が都市型戦闘訓練施設を使った実弾射撃訓練を強行したことに怒りが広がっています。十九日には、沖縄県金武町伊芸区で、県議会、金武町、同町議会、伊芸区の四者共催による緊急抗議県民集会が一万人を超える人々の参加で開催されました。少女暴行事件に抗議する沖縄県民総決起大会(一九九五年)以来十年ぶりの幅広い共同のとりくみです。近くの住民を銃弾の危険にさらす実弾訓練を、やめるどころか強化する米軍の態度は、県民の安全を無視するものです。

 米軍と日本政府は、実弾訓練の中止と都市型訓練施設の撤去を求める県民の訴えをきくべきです。

■大腿部に命中も

 米海兵隊基地キャンプ・ハンセン(金武町など)には、ライフルなどの射撃場が二十近くあります。その一つが、レンジ4と呼ばれる射撃場です。沖縄自動車道まで二百メートル、金武町伊芸区の住宅地まで三百メートルしか離れていません。米軍は、山側に向けて発射するから危険はないといってきましたが、住宅地に銃弾が飛び込む事件が頻発しています。

 金武町役場作成の資料によれば、主なものだけでも、三十カ所以上。住宅の屋根、室内、子どもの遊び場、レストランなどところかまわず銃弾が撃ち込まれています。住宅の庭先で遊んでいた子どもや部屋で化粧中の女性の大腿(たい)部に命中、銃弾が男性の腹部をかすめるなどの事故が相次ぎ、まさに命の危険と隣り合わせの状況が続いてきました。このほか、銃弾による山火事も多数発生、なかには、住宅近くまで延焼したこともあります。

 住宅地に飛び込む銃弾は、岩などに当たって跳ね返るもの、近くの射撃場から飛んでくるもの、操作ミスによるものなどさまざまです。実弾訓練ならではの危険です。

 このレンジ4に都市型戦闘訓練施設が作られたことから、危険はいっそう増幅されます。

 建設された都市型戦闘訓練施設は、建物強行突入や内部強制捜索・発砲などの市街地戦闘能力を高めるためのもの。イラクで米軍が実際に行っている戦闘を想定したもので、激しく動きながら発砲します。発射角度を決めるわけではなく、実弾はどこに飛ぶかわかりません。米軍が「安全」といっても、根拠はありません。政府の「安全・環境等に配慮」(防衛施設庁発表文)の言い分も、米軍いいなりで、保証にはなりません。

 日本政府は、レンジ4が近接住民にとって危険だというので、基地内の奥まった地域に、日本の「思いやり予算」で施設をつくり移転させる計画です。移設完了までは、「必要不可欠な訓練」として容認しています。危険だから移設するというのに、都市型戦闘訓練を認めるのでは筋が通りません。しかも、米軍は、陸軍の実弾訓練を移したあとも訓練施設を維持し、海兵隊などに使用させる可能性があります。

 銃弾の恐怖にさらされている住民が、都市型戦闘訓練の中止と施設の撤去を求めるのは当然です。

■県民の立場で

 二十年前、高校二年生のときに米兵にレイプされた女性が、知事あての手紙で「基地をなくしてください」と訴えました。しかし、町村外相は、米軍がいるから日本の平和と安全が保たれている、とのべました(七月三日)。被害者の痛切な訴えと沖縄県民の思いを踏みにじる発言を許すわけにはいきません。

 米軍基地の縮小・撤去の声をさらに大きくしていきましょう。


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