2005年7月20日(水)「しんぶん赤旗」

アスベスト被害

労災認定を柔軟に

参院委で小池議員 厚労相「十分配慮する」


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 アスベスト(石綿)による肺がん、中皮腫などの健康被害が深刻になっている問題について、日本共産党の小池晃議員は十九日の参院厚生労働委員会で、被害の実態調査、使用の全面禁止、労災認定の改善など、従来の枠を超えた抜本的な対策を求めました。

 石綿を原因とする労災認定は二〇〇三年度で中皮腫八十三人、肺がん三十八人にすぎず、同年度の中皮腫による死亡者数八百七十八人に比べると極端に低い認定となっています。(グラフ)

 小池氏は、申請から一年半もかかり、死後に認定された東京・目黒区の男性の事例を示しました。このケースは、労基署から石綿の使用歴の証明を求められたため、製造中止になった排水管(石綿セメント管)のカタログを遺族が発見して、ようやく労災認定されたものです。小池氏は「医学的に疾病がアスベストによる可能性が高いと判断できるケースは、建設現場の作業歴さえあれば労災認定するという立場で臨むべきだ」とのべ、実態に合わせた柔軟な運用を要求。尾辻秀久厚労相は「証明に困難が多いことを十分配慮して、今後の対策をしなければならない」と答えました。

 小池氏は、兵庫県尼崎市のクボタ旧工場周辺で三十一人の住民が中皮腫で亡くなっているという報道を示し、「被害の特性からいっても、従来の労災対策の枠を超えた対策が必要だと考えないか」と指摘。具体的対応として、被害が出た事業所付近住民への無料による被害健康診断や労災認定の対象外(親方など)への救済制度、労災認定の時効期間の見直し、石綿飛散予防対策費用の企業への公的支援などを求めました。

 尾辻厚労相は、「労災保険制度のなかでやろうとするのは率直にいって無理がある」とのべ、従来の枠組みを超えた対応が必要なことを認めました。小池氏の具体的提案についても「検討が必要になると思う」と答えました。


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