2005年7月19日(火)「しんぶん赤旗」

主張

自衛隊法等の改悪

海外で戦争するための備え


 防衛庁設置法と自衛隊法の改悪法案を、自民、公明両党が参院外交防衛委員会で可決し、二十日の参院本会議で採決を狙っています。

 統合幕僚長を新設し、作戦運用で陸・海・空三自衛隊を一元的に指揮させるなど統合運用の強化をはかる。侵略発生の認定以前に、「日本に飛来する」弾道ミサイルを迎撃するための武器使用を認める。これが主な内容で、ブッシュ米政権の先制攻撃戦争のための軍事再編に合わせた機能強化です。

 「戦争する国」づくりを加速させるもので、重大です。

■米の先制攻撃と一体

 ブッシュ政権は、先制攻撃戦争を迅速・効率的に実施するため、陸・海・空・海兵隊の統合運用を強化するとともに、同盟国にも統合運用の強化を求めています。

 自衛隊の統合運用強化はこの要請に応えたものです。自衛隊は、統合運用強化で、「迅速に行動」(大野防衛庁長官)できるようになり、先制攻撃戦争をたたかう米軍との一体化が進みます。いまは、政府の海外派遣命令が出た後でなければ統合部隊は編成できませんが、統合運用強化で、米国から要請され次第、防衛庁長官の指揮を受けた統合幕僚長が、海外に出る統合部隊を編成できるようになります。一元的な指揮の下で、陸自部隊を空自が空から支援、海自の艦船が補給するという統合作戦を可能にします。憲法九条改悪を先取りするかのような海外で戦争するための備えです。

 統合幕僚長が、三自衛隊の文字通り最高位として、米軍の意向を直接受けて、全自衛隊を動かすことから、政治に強い影響力を与えるおそれもあります。

 ミサイル防衛も、米国の先制攻撃戦略と一体です。

 ブッシュ政権のミサイル防衛網は、米国本土や在外米軍基地、同盟国をねらうミサイルを無力化することによって、安心して、核兵器使用を含む先制攻撃戦争を実施できるようにするためのものです。

 日本のミサイル防衛は、極東地域を責任範囲として、米国ミサイル防衛網の一翼を担い、補完するものです。日本が集めるミサイル情報も米軍に集中されます。日米一体の態勢を強化するため、米軍横田基地(東京都)に、ミサイル防衛の日米統合司令部をつくることになっています。

 また、米政府は、将来型迎撃ミサイル開発のため米国と同じ規模の五百八十億円を日本政府が負担するよう要求しています。

 日本のミサイル防衛導入は、米国の先制攻撃戦争への参加と戦争態勢づくりにはずみをつけるなど、危険を大きくするもの。ミサイル防衛を「防衛的」というのは誤りです。

 大野防衛庁長官は、日米共同開発の将来型迎撃ミサイルを第三国に供与する可能性を示唆しました。武器輸出三原則崩しの危険もあります。

 自衛隊法等改悪の内容は、憲法違反を重ねるもので、断じて許すわけにはいきません。

■憲法九条生かす道こそ

 日本が、米国の先制攻撃戦争への参加―海外で戦争するための態勢づくりをすすめていることにアジアの人々は、懸念を強めています。小泉首相の靖国神社参拝など侵略戦争正当化の動き、憲法九条改悪の動きと重なっているだけに、いっそう大きな脅威を与えています。これは、日本の安全にも、アジアと世界の平和にも逆行する道です。

 日本が進むべき道は、憲法を守り、生かす道です。


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