2005年7月19日(火)「しんぶん赤旗」
平和掲げ“立つ”
「9」の日 1年半欠かさず駅頭に
神奈川・茅ケ崎
駅前に“立つ”というだれもができる形態で憲法・平和をアピールしているとりくみがあります。神奈川県茅ケ崎市の「『9の日』反戦スタンディング」です。
■1人でもの決意
毎月九、十九、二十九日の夕方、JR茅ケ崎駅前に、プラカードや絵手紙、「PEACE」と書いた旗など、思い思いのものを手に持ち、胸に下げた二十人前後の人たちが立っています。一年半余、欠かさず続けています。
反戦スタンディングの提唱者は岡本棟守さん(63)。航空会社の整備士だった岡本さんは退職後、急浮上した憲法改悪の策動にじっとしていられなくなりました。三歳のとき母、二つ上の兄と三人で旧満州(中国東北部)から引き揚げました。その際、兄が関節炎にかかり医者にいけず亡くなりました。この体験がいつまでも心の片隅にありました。
「一人でもできる行動はないか」。思いついたのが、プラカードに思いを書いて駅頭に立つという行動です。最初の行動日は二〇〇三年十二月二十九日。「一人で立つ」決意でしたが、それを知った人たちが続々つめかけ二十一人に。岡本さんはプラカードに「輝け!憲法九条」と書きました。
以後五十五回、参加はのべ九百人をこえました。台風が直撃した昨年十月九日も二人で立ちました。
■通りすがり参加
「ただ立っている小さな行動です。しかし、確かな手ごたえがあるんです」と岡本さんはいいます。
通りすがりの人が趣旨に賛同して立つこともたびたびあります。六月には女子高生が「私も参加させてください」と加わり、別の女子高生は終了後感激の面持ちで参加者一人ひとりと握手していきました。今月九日には女子大生二人が「あの『PEACE』と書いた旗がほしいんですが」と声をかけてきました。
この場で「九条の会・ちがさき」に入会した人は三十人をこえます。
「若い人たちの反応がいいので、こっちが勇気づけられますね」と話すのは毎回のように参加している鈴木康正さん(65)です。思わぬ人から「この前立っていましたね」と声をかけられ、この行動が注目されていることを感じるといいます。
スタンディングには、母親、無党派の人たちが積極的に参加、平和問題にとりくむさまざまな団体の人たちも個人として参加しています。草の根のつながりが深まり“平和・交流のひろば”ともなっています。
スタンディングは「いまの改憲策動に決着をつけるまで続けます」(岡本さん)。