2005年7月18日(月)「しんぶん赤旗」

シラク大統領

フランス・モデル擁護

英への対抗意識鮮明に


 【パリ=浅田信幸】フランス革命記念日の十四日、シラク仏大統領は恒例のテレビ会見で「英国モデルはわれわれが望んだり、まねしたりすべきモデルとは思わない」と発言しました。欧州連合(EU)議長国に就いた英国のブレア首相が、労働者の権利や社会保障など「欧州社会モデル」のあり方をめぐり論議を起こそうとしていることに対抗意識をあらわにしたものです。

 高水準の社会保障や社会的連帯を重視するフランスやドイツの社会経済モデルに対し、英国モデルは自由化、規制緩和、競争を重視しています。

 フランスの失業率は英国の倍以上の10%。大統領は「確かに英国では失業率はわが国より低いが、医療政策でも貧困対策でも英国よりはるかによい」と述べ、教育・研究費でも具体的な数字をあげ、英国を上回っていると強調しました。

 とはいえ、シラク大統領が誇る「フランス社会モデル」への国民の反応はいま一つ。欧州憲法条約をめぐる五月の国民投票で多くの国民が批准に反対したのは、失業増など社会の現状への不満からでした。最有力労組の労働総同盟(CGT)も「仏型社会モデルは危機にあり、改革が迫られている」(ナセル経済社会研究所責任者)との評価です。

 他方で保守派の間でも、シラク氏の強力なライバルとして二年後の大統領選挙出馬をうかがうサルコジ内相は、「三百万人の失業者を生むモデルはわれわれの社会モデルではない」と公言してはばかりません。こちらはむしろ英国流モデルを追求する姿勢が鮮明です。

 失業克服をはじめ社会政策のいっそうの充実を求める国民、労働者の圧力と、より新自由主義的な潮流の圧力を受け、支持率が最低に落ち込んだシラク氏。今回の発言は、大統領三選に向け、国民の間に少なくない英国への対抗意識をくすぐりながら再起をねらったものでもあるようです。


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