2005年7月18日(月)「しんぶん赤旗」
“造反”“暴走”封じに必死
郵政法案 自民18人反対なら否決
参院郵政民営化特別委員会で審議が本格スタートした郵政民営化法案。解散含みの政局のなか、緊迫した局面が続いています。
■“丁寧な答弁を”
「(与党内の)懸念を払しょくする必要があるとの議論を真摯(しんし)に受け止めた」
参院特別委員会で審議が始まった十五日、小泉純一郎首相は、与党が衆院でおこなった法案「修正」の意義を強調してみせました。自民党反対派の“造反”をおさえこむために、参院自民党執行部の意向をくんで、「低姿勢」を示しているのはみえみえです。
同日の審議には会場の第一委員会室に、片山虎之助参院自民党幹事長が現れ、首相答弁をしばし「傍聴」。前日には「ぜひ委員会の答弁も、原稿がなくても丁寧で謙虚な答弁をしていただきたい」と“注文”していました。
それでも、小泉首相は法案「修正」について「骨格、基本方針、中身は変わっていない」という立場。青木幹雄参院自民党議員会長が「国民に分かりやすい審議をやって、しっかりした結論を出さなければならない」(十四日)というほど、党執行部は解散権を振りかざす小泉首相の“暴走”をおさえこもうと必死です。
■危機感をあおり
自民党執行部は、反対派のおさえ込みのために、“政権存亡の危機”を持ち出しています。
片山氏は十六日も「(参院で)否決され衆院解散したら、自民党は分裂選挙になる。そうなると自民党は崩壊し、政治は空白になる」と強調。「イラクへの自衛隊派遣、国連常任理事国入り、歴史認識の問題などがあるときに、日本の政治をおかしくすることは避けるのが正しい」とものべました。
自民党内の法案反対派は十四日、綿貫民輔前衆院議長(郵政事業懇話会会長)が主催する勉強会を都内のホテルで開きました。亀井静香元政調会長、高村正彦元外相ら派閥の領袖クラスを含め五十九人が参加し、参院議員の出席者は十人でした。
参加した参院議員からは法案の「再修正」を求める声が相次ぎ、「解散カード」をちらつかせて強行をはかる自民党執行部への批判の声もあがりました。
出席議員のほかにも、参院自民党では法案への反対者や賛否未定者がかなりの数にのぼるとみられています。
反対派の動きに、小泉首相は「参院でも可決してくれる」と強気の構えですが、法案否決―衆院解散の可能性は「予断を許さない」(片山氏)というほど、政局は流動的です。
参院本会議の採決では、野党側が全員反対した場合、自民党から十八人が反対にまわれば法案が否決され、五票差で辛うじて可決した衆院に比べても、否決の「ハードル」が低いためです。
■共産党「廃案に」
法案審議が自民党内の政局の思惑で揺れ動くなか、日本共産党の小池晃政策委員長は十五日の審議で「郵政民営化とは郵便貯金や簡易保険の大事な役割を放棄することだ」と国民の目線で批判。「三百四十兆円の巨大な金融資産を、日米の銀行、保険会社に明け渡すものだ」と法案の本質をつき、廃案を求めました。
世論調査では、郵政民営化法案を今国会でむり押しすることに反対する国民が多数派です。徹底審議の上、廃案にすることが求められます。(小林俊哉)