2005年7月18日(月)「しんぶん赤旗」
米議会決議
大戦の戦争観を明らかに
東京裁判の判決再確認
米下院は十四日、第二次世界大戦終結六十周年にあたり、参戦兵士をたたえる決議案を採択しました。その中で、この戦争がファシズムと軍国主義にたいする世界的な戦争であったという性格を指摘。また、沖縄、広島、長崎を含め三十近くの都市や国名をあげて、すべての犠牲者に言及しています。
さらに、極東国際軍事裁判(東京裁判)での戦争犯罪人への有罪判決を改めて確認しています。これは、日本で東京裁判の判決を否定して、逆に日本がおこなった戦争への美化があることへの批判となっています。
米議会が終戦を記念した決議は五十周年も含めてこれまでなかったことです。戦後六十年を経て歴史の事実を米議会がこうした形で「再確認」するところに、日本の一部勢力の誤った戦争観、歴史観にたいする世界で強まっている批判がみられます。
決議は、一九四六―四八年の東京裁判について、「その判決と、特定の個人に人道にたいする罪を犯した戦争犯罪人として有罪判決を下したことを再確認する」と述べています。
また、第二次大戦をたたかった米国人を「自由を守り、世界をファシスト軍国主義の惨劇から救い出した」として感謝を表明するとともに、米艦船ミズーリ号上での日本の第二次大戦の最終降伏六十周年を記念するよう呼びかけました。
さらに、戦後のオーストラリア、日本、韓国などと米国との同盟を「アジア地域の平和と繁栄に貢献した」と強調しています。
■歴史わい曲で「けん制」 米議会決議 韓国各紙が報道
韓国各紙は、米上下両院が日本の戦犯を裁いた極東国際軍事裁判(東京裁判)の判決を再確認する決議を可決したことを報道。決議について、歴史わい曲問題での日本に対する米国の「けん制」との見方を示しています。
中央日報(電子版)十六日付は、「日本の太平洋戦争美化の動きにクギを刺す一方、小泉首相の靖国神社参拝に対するけん制の意味を持つと評価される」と指摘。京郷新聞(電子版)十五日付は「日本の戦犯断罪は正当」との見出しで報じました。
朝鮮日報(電子版)十七日付は、「今回の決議は、第二次世界大戦で他の国を侵略した日本の戦犯たちの行為を反人類的犯罪行為と規定したことを再確認したもので、最近の靖国神社参拝問題など、日本の一部による歴史わい曲問題に対する間接的な批判という見方もできる」と述べました。