2005年7月16日(土)「しんぶん赤旗」
アスベスト被害
総合的対策を早く
「患者と家族の会」など 2団体が提案
「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」と「中皮腫・アスベスト疾患患者と家族の会」は十五日、東京都内で共同の記者会見を開き、国や企業にアスベストによる被害の救済と総合的な対策を求める提案を発表しました。
同センターの名取雄司代表らは、アスベストが主な原因となる中皮腫や肺がんの健康被害の実態が次々に明らかになるなか、政府や関係自治体に対して、被害の実態調査や補償、予防策を求める国民の声が日増しに高まっていると指摘。アスベストの全面禁止、関連する疾患の健康対策の充実、廃棄物対策の充実、地震の際の対策などの必要性を紹介しました。
また、アスベストに関し、石綿製造業者(下請会社や工場を含む)は、保有する石綿関連疾患の情報を公表すること、国は早急に、職業や環境、家族の暴露の診断に有効な中皮腫登録制度を導入すること、死亡診断書の提出されている、過去の悪性中皮腫の全数調査を行う調査研究班を設置すること―などを提案しました。
患者や遺族ら五人は、アスベストによる被害について、切実な思いを語りました。現在、療養中の中村實寛さんは「アメリカで使われているような治療薬を日本でも使えるようにしてほしい。中皮腫の患者に明日はないのです。明日をください」と涙ながらに訴えました。
■県に実態調査要求
■神奈川 建設労連が調査結果公表
建設現場でアスベスト(石綿)を吸い込んだ労働者の健康被害の問題で、神奈川県建設労働組合連合会(山本敏親会長・組合員五万二千人)は十五日、アスベストが原因とみられる中皮腫や肺がんで労災認定を受けた組合員のうち、七割以上がすでに死亡していることなど実態調査の結果を発表しました。
同労組は、この調査結果も示して、松沢成文県知事あてに緊急要請をして、石綿の使用届が出ている事業所の実態調査と結果の公表、相談窓口の設置などを求めました。
同労組によると、▽一九八七―二〇〇五年三月までに石綿肺の労災認定を受けた患者十二人のうち六人が死亡▽一九九四―二〇〇五年三月までに肺がんの労災認定を受けた患者十九人のうち十五人が死亡▽一九八九―二〇〇五年三月までに中皮腫の労災認定を受けた七人のうち全員が死亡。二十年近くの間に、労災認定された三十八人のうち七割を超える二十八人が、アスベスト汚染が原因とみられる中皮腫や肺がんで死亡しています。
また、二〇〇四年度の胸部レントゲン再読影結果からは、健康診断を受けた同組合員約二万人のうち、3・81%にあたる七百六十五人に、アスベストを吸い込んだ痕跡となる胸膜肥厚斑(きょうまくひこうはん)があることなども分かりました。
同労組の県知事への要請には、日本共産党の、ふじたちえこ県議が同席しました。