2005年7月13日(水)「しんぶん赤旗」
住民殺害・拷問も
米軍・イラク軍 作戦強化
【カイロ=小泉大介】イラク駐留米軍とこれに連携するイラク軍部隊は十日から十一日にかけ、同国各地で軍事作戦を強化し、民間人の被害が拡大するなど緊張が高まっています。
■爆撃の脅し
カタールの衛星テレビ・アルジャジーラによると、北部モスル近郊のタルアファルで十一日、米軍の爆撃により、民家九棟が破壊され、住民五人が死亡、十八人が負傷しました。また米軍は十日以降、中部バクバ近郊のブフルズを包囲、住民の出入りを一切禁止したうえで軍事作戦をおこない、五十人以上を拘束しました。同軍は住民に拡声器で「二十四時間以内の武装勢力の引き渡し」を要求、実施されない場合は大規模な爆撃をおこなうと脅しています。
米軍は九日には中部ファルージャ近郊のザイダンに約五百人の海兵隊部隊を動員し、五月以降五度目の大規模軍事作戦である「三日月刀作戦」を開始したと表明しています。ファルージャは昨年十一月の米軍の総攻撃で約二千人の住民が殺害され、現在も多数が劣悪な生活条件におかれているだけに新たな作戦の影響が懸念されます。
■拘束され死亡
一方、バグダッド西部では十一日、「武装勢力容疑者」としてイラク治安部隊によって拘束されていた九人のレンガ職人の遺体が発見されました。死亡した九人は、窓のない小型トラックの荷台に閉じ込められ、五〇度近い高温の中、長時間放置されていました。
イスラム教スンニ派有力組織のイスラム聖職者協会は、死亡したのはスンニ派住民で、内務省直属部隊が拷問の末にトラックに閉じ込めたと指摘。宗派間の対立をあおるものだと厳しく抗議しました。