2005年7月13日(水)「しんぶん赤旗」

「教科書問題」外国特派員協会討論会を開催

虐殺の苦しみ反映させて


 「新しい歴史教科書をつくる会」主導の教科書採択にむけ「つくる会」が運動を強めるなか、日本外国特派員協会は六日、都内で教科書問題討論会を開催しました。討論会には、俵義文氏(子どもと教科書全国ネット21)、王智新氏(華人教授会)、金武貴氏(在日本大韓民国青年会中央本部)、西部邁氏(秀明大学学頭・「つくる会」元理事)、西村幸佑氏(ジャーナリスト)、潮匡人(評論家)が出席しました。

 西部氏は「戦争にはアジア解放という正義が最後まで消えることはなかった」「侵略は日本の責任でも何でもない」などと一貫して主張。西村氏が、歴史教科書問題で日本を批判する韓国、中国、北朝鮮は「報道の自由度が低い国」とし、「反日トライアングル」だと批判しました。

■アジアの平和に影響

 一方、王氏は、教科書問題は「アジアの平和と安定に影響するアジアの問題として取り上げなくてはならない」と発言。金氏は、「従軍慰安婦」否定発言は今、日本政府高官から出てきていると指摘し、政府が「つくる会」の運動を支持していると批判しました。

 俵氏は、南京大虐殺について七〇年―八〇年代の論争で「なかった」と主張していた人々が次に持ち出してきたのが人数の問題だったと指摘。「一人でも虐殺は虐殺で、一人一人の積み重ねが何万人だ」とのある作家の言葉を紹介。「日本が犯した虐殺行為について事実を認める時には、そういう一人一人の苦しみや悲しみを見つめる、そのことが伝わる教科書を書くべきだと思う」と述べました。俵氏の発言に会場から拍手が起きました。

 記者からは欧州連合(EU)のように「アジアの和解に向けどう努力していけるのか」との質問が出されました。「つくる会」擁護派は「アジアでは不可能だ」(西部氏)、「危険な妄想だ」(西村氏)と批判しました。

 一方、王氏は「EUに励まされ東アジア共同体づくりに努力している。その努力への破壊、お互いの民衆を引き裂く教育が出てきている。今まで培われた共同の知恵をひっくり返す勢力がいることが問題だ」と述べ、俵氏は「アジアにおける平和の共同体を目指すべきで、それは可能だ。日本が戦争へのきちんとした反省と二度と繰り返さない立場でアジアの人々と共通の歴史認識を目指すことがその前提」と強調しました。

■「つくる会」出席を拒む

 討論会には、「つくる会」の代表者も招待されましたが、「特定の会社の教科書だけを問題視し、議論するのはアンフェア」などとして出席を拒否しました。特派員協会のピオ・デミリオ副会長は冒頭、「つくる会」側からの抗議はあたらないとし、「われわれには不適切で不公平な行為はない」と述べました。


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